2025年10月31日時点で、ベトナム中部を襲った記録的な豪雨とそれに伴う洪水により、甚大な被害が発生しています。現地報道によれば、この豪雨により少なくとも10人から18人が死亡、8人から11人が行方不明となる深刻な事態となりました。この一連の激しい降水は10月24日から28日にかけて観測され、特にフエ市では27日までの24時間で1085.8mmというベトナム観測史上最大の降雨量を記録しました。
記録的な洪水がベトナム中部を襲った
広範囲にわたる土砂崩れと鉄砲水が発生し、特に山間部の集落が大きな打撃を受けました。平野部や沿岸地域でも影響は深刻で、6万5千戸から12万8千戸以上の住居が浸水したと報告されています。世界遺産ホイアンの要所では水位が1メートルを超え、歴史的景観が水没しました。また、フエ市では40の区・コミューンのうち32が浸水し、一部で水深が1〜2メートルに達しました。当局は交通インフラに関して非常事態を宣言し、即座の復旧作業のために緊急資金を投入する決断を下しました。
気象当局は、この豪雨の主な要因として、南シナ海からの暖湿流の継続と、チュオンソン山脈における地形的要因による湿潤気団の強制的な上昇を挙げています。河川水位も歴史的な高さを記録し、ダナン市を流れるトゥーボン川では1964年の記録を上回る水位が観測されました。
この異常気象は経済にも影響を及ぼしており、農業・環境省は2025年の国内総生産(GDP)が0.2%減少するとの見通しを発表し、国際社会への復旧支援要請に繋がっています。気象予報では、11月4日まで複数の省で大雨が続く見込みであり、河川水位の高止まりと洪水のリスクは依然として高い状態が続くと示唆されています。当局は、継続的な状況に対応するため、短期的な対応を超えた、より深い準備と相互扶助の必要性を強調しています。
