パナマのサンゴ、ユニークな微生物叢により熱耐性を強化

編集者: Inna Horoshkina One

スミソニアン熱帯研究所(STRI)の研究により、パナマの太平洋沿岸に生息するサンゴが、驚くべき熱耐性を示すことが明らかになりました。この研究は、サンゴとその共生微生物群集(マイクロバイオーム)との相互作用が、気候変動による海洋温暖化下での生存に不可欠であることを示唆しています。特に、パナマ湾に生息するポシロポラ属のサンゴは、冷たい水と栄養塩をもたらす湧昇現象の影響を受ける地域で、より高い熱耐性を持つことが確認されました。これは、水温が変動しやすい環境に長年さらされてきたことが、サンゴとその共生微生物群集の適応を促した可能性を示唆しています。

この発見は、サンゴ礁の保全戦略に新たな光を当てると専門家は指摘しています。熱帯環境の変動に順応したサンゴ群集や、そのユニークな微生物叢の特性を理解することは、気候変動の影響を受けやすいサンゴ種の保護や回復力強化に向けた具体的なアプローチ開発に重要です。パナマ湾のサンゴは、水温が比較的安定しているチラキ湾のサンゴと比較して、熱ストレスに対する回復力において顕著な違いを示しました。この研究は、サンゴ、共生藻類、そしてサンゴの組織内に生息する細菌や真菌などの微生物群集全体を包括する「ホロビオント」という概念に着目した点で、東部太平洋地域では初めての試みとなります。研究者たちは、サンゴの熱耐性が遺伝的要因だけでなく、そのサンゴが育つ環境の歴史、特に水温の変動パターンと、それに適応した微生物群集の安定性に大きく依存していることを発見しました。将来的には、これらの有益な微生物群集を他のサンゴに移植したり、サンゴの熱耐性を高めるための環境要因を特定したりする研究が進められる可能性があります。

ソース元

  • Mongabay

  • Mongabay

  • Penn State University

  • Proceedings of the National Academy of Sciences

エラーや不正確な情報を見つけましたか?

できるだけ早くコメントを考慮します。