最新の研究により、太平洋沿岸のひまわりヒトデの個体群壊滅的な影響を与えた海星消耗病(SSWD)の主な原因が、細菌「ビブリオ・ペクテニシダ」であることが明らかになりました。この発見は、病気の生態系への影響を理解する上で重要な一歩となります。
かつてケルプの森の健康を支えるキーストーン種であったひまわりヒトデは、SSWDによりその個体数の90%以上が失われました。この激減は、捕食者であるヒトデの減少によりウニの個体数が制御不能に増加し、その結果、ケルプの森が荒廃するという生態系の連鎖を引き起こしました。この状況は、他の多くの海洋生物にも影響を与えています。
この発見は、SSWDのメカニズムの解明だけでなく、将来的な保全活動にも大きく貢献すると期待されています。研究者たちは、この細菌を特定したことで、病気の発生状況をより正確に把握し、ヒトデの回復に向けた培養ベースの研究や広範なスクリーニングが可能になると考えています。
現在、ビクニ水族館などの施設では、SAFEひまわりヒトデイニシアチブのような捕獲下での繁殖プログラムを通じて、この種の回復に向けた取り組みが進められています。2024年2月には、ビクニ水族館で3匹のひまわりヒトデが産卵に成功したという朗報もあり、種の回復と海洋環境におけるその重要な役割の再生への希望の光となっています。この発見は、海洋生態系の健全性を維持するために、各生物がいかに相互に関連しているかを示唆しています。