オマーン環境庁(EA)は、生物多様性の宝庫である東部ハジャル山脈を対象とした国家プロジェクトを開始しました。このプロジェクトは、希少で絶滅の危機に瀕している樹木や植物を綿密に監視・分類し、包括的なデータベースを構築することで、国の自然遺産を保護することを目的としています。
東部ハジャル山脈は、ジュニパー(杜松)をはじめとするユニークで繊細な植物群の生息地ですが、これらの種は深刻な環境的脅威に直面しています。EAは、正確な記録と科学的な監視を通じて、これらの種の長期的な生存を確保することを目指しています。この取り組みには、EA職員とイブラ応用技術大学が協力し、高解像度画像やGPSなどの先進技術を活用します。大学の専門家は植物研究と分類における科学的専門知識を提供し、EAは国際的に認められた方法論を適用してフィールドオペレーションを管理します。
作成されるデータベースには、希少植物の生息地、生物学的特性、自然環境の詳細が含まれ、国家的な保全戦略、科学研究、一般市民への啓発活動に不可欠な情報を提供します。このプロジェクトは、オマーンが生物多様性を将来の世代のために保護し、持続可能な環境慣行を推進するというコミットメントを強調するものです。東部ハジャル山脈は、険しい峡谷と独特の生態系で知られ、少なくとも千年前から人類の居住と耕作の歴史があります。このプロジェクトは、国内で1000万本の野生樹を植えるという国家的なキャンペーンを含む、オマーンのより広範な環境目標とも一致しています。
種の保全活動は、オマーンの自然遺産を保護するための重要な一歩です。例えば、マワリド(オマーン動物植物遺伝資源センター)は、2018年から2024年にかけて81回のフィールド調査を実施し、352種の野生植物種を記録しました。そのうち18種はIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで絶滅危惧種に分類されています。これは、気候変動や人間活動によるリスクにさらされている種を保護し、将来の世代のためにその生存を確保するための取り組みの一環です。
特にハジャル山脈のジュニパーの木は、そのユニークな生態系における重要性から注目されています。これらの木は、気候変動、過放牧、過剰採取などの影響を受けており、一部の地域では状態が悪化していることが報告されています。研究者たちは、これらの木が気候変動の最も顕著な影響を受けている種の1つである可能性を示唆しており、特に標高の高い場所や日陰の北向き斜面にある個体群が、気候変動の避難場所として重要であると考えています。これらの地域を他の脅威から保護することが、オマーンのジュニパーの保全にとって鍵となります。