チリのビニャ・デル・マール市にあるエステロ・レニャカが、環境省によって公式に都市型湿地として宣言されました。この宣言により、チリの保護地域に16.9ヘクタールが追加され、全国の都市型湿地の総数は134カ所となりました。エステロ・レニャカは、ビニャ・デル・マール市にとって2番目に保護される湿地となります。
この重要な生態系は、レニャカ、ゴメス・カレノ、サンタ・フリアといった人口密集地域を横切り、太平洋に注いでいます。グレート・エグレット、スノーイー・エグレット、コモン・ガリヌラなどの在来鳥類にとって重要な生息地となっており、70種以上の植物種が確認され、そのうち26種が在来種であることから、生物学的に非常に価値が高いことが示されています。
エステロ・レニャカは、その生態学的重要性だけでなく、都市の回復力においても極めて重要な役割を果たしています。冬には水の調整役として洪水を防ぎ、夏には植生と水面を通じて都市のヒートアイランド現象を緩和します。これらの自然の恩恵は、気候変動との戦いにおける重要な味方となります。
長年その保護を訴えてきた環境保護団体は、この宣言を歓迎しています。環境省は、都市型湿地が洪水や干ばつといった気候変動の影響への適応、生物多様性の保全、そして環境的に重要な場所の保護に不可欠であると強調しています。
この指定により、エステロ・レニャカはチリの保護都市型湿地のネットワークに加わり、生態系の保全にとって重要な空間であると同時に、都市環境内に存在する自然の豊かさを探求する機会を提供しています。チリでは、2020年1月に都市型湿地保護法が施行され、無秩序な不動産開発を抑制し、湿地を都市計画に統合することを目指しています。この法律により、地方自治体は都市型湿地を特定し宣言することが可能になり、それらを保全するための規制ツールが付与されています。2023年5月時点で、100カ所の都市型湿地が宣言され、合計10,951ヘクタールに達していました。この法律は、チリの環境保護における重要な一歩と見なされており、都市部における湿地の保全に不可欠な役割を果たしています。