バリ島の海岸線、マングローブ4,000本で強化：KodimとQNETの共同プロジェクト

バリ島は、その美しいビーチと豊かな文化で世界中から観光客を惹きつけていますが、近年、気候変動による海面上昇や、過去の無秩序な開発、砂の採取などが原因で、海岸浸食が深刻な問題となっています。特に観光産業に不可欠な砂浜の消失は、経済的にも大きな影響を与えかねません。このような状況下で、マングローブの植樹は、自然の力で海岸線を保護する効果的な手段として注目されています。

2025年8月27日（水）、バリ島のングラライ大森林公園沿岸にて、バドゥン軍管区司令部（Kodim 1611）とライフスタイル・健康企業QNETが共同で、4,000本のマングローブ苗木を植樹しました。この取り組みは、バリ島の海岸線を浸食から守り、その豊かな自然環境を次世代へと引き継ぐための重要な一歩となります。

今回の植樹活動は、インドネシア陸軍参謀総長テニ・マールリ・シマンジュンタク将軍の掲げる「自然との共生、緑豊かなインドネシアを目指して」というアジェンダの一環として実施されました。Kodim 1611/バドゥンの司令官であるプトゥ・タンカス・ウィラタワン大佐は、「自然との調和は、私たちの未来への投資です。QNET様との連携は、この目標達成に向けた強力な推進力となります」と述べ、QNETの長年にわたるバリ島の沿岸生態系保全への貢献を称賛しました。

QNETインドネシアのディレクターであるガナン・リンダルコ氏は、2022年から続くKodim 1611/バドゥンとの協力関係に触れ、「4,000本以上のマングローブ苗木を植え、育てるという私たちの継続的な努力は、バリ島の海岸を守るという共通の目標に向けたものです。今後は、植樹した苗木の維持管理と、さらなる植樹を進めていきます」と語りました。QNETは2021年に立ち上げた世界的な植林キャンペーン「QNET Green Legacy」の一環としても、この活動を位置づけています。これらの共同の努力は、2024年のインドネシアSDGsアワード（ISDA）で、沿岸生態系保全への貢献が評価され、ゴールドアワードを受賞するという栄誉にも輝きました。

マングローブは、その複雑に絡み合った根が波の衝撃を和らげ、海岸浸食を防ぐ天然の防波堤として機能します。さらに、インドネシアは世界最大のマングローブ面積を誇り、これらの生態系は沿岸地域の保護だけでなく、生物多様性の維持や炭素吸収源としても極めて重要な役割を担っています。マングローブは、単に海岸線を保護するだけでなく、多くの海洋生物にとっての「海のゆりかご」としての役割も果たします。魚の稚魚や甲殻類などが生息する豊かな生態系を育み、地域漁業の持続可能性にも貢献します。また、マングローブは成熟した熱帯雨林の4倍もの二酸化炭素を吸収・貯蔵すると言われており、地球温暖化対策としてもその重要性が増しています。

この植樹イベントには、地元の政府関係者や環境保護機関など、多様なステークホルダーが参加し、環境保全とマングローブ保護に対する共通の決意を表明しました。バトゥ・ルンバン漁師グループが日々の手入れを担うことで、植樹されたマングローブは着実に成長し、バリ島の海岸線に新たな生命力を与えています。この活動は、自然の回復力を信じ、地域社会と協力して未来を築くという、持続可能な発展への希望を示しています。