カンボジア北東部、ストゥン・セン州セサン地区カトット村で、推定10万年から200万年前の巨大な化石化した木が発見されました。この発見は、地域の自然遺産への関心を高めるとともに、地元先住民コミュニティに新たな経済的機会をもたらすものと期待されています。
地元で「カキル・トマー」として知られるこの化石木は、長さ約30メートルと推定されており、現在、その半分以上が発掘されています。粘土と砂岩の層に埋もれていたこの化石木の発見は、2025年8月11日に発掘作業が開始されて以来、環境省、ストゥン・セン州環境局、文化・美術局、およびセサン地区当局が連携して進められています。
この化石木の調査は、学術的な研究価値の確保と、地元先住民コミュニティへの利益還元を目的としています。カンボジアではこれまでにも小さな化石化した木片が発見されてきましたが、今回の発見は規模において格段に大きいものです。過去にはバッタンバン州などで約2億5千万年前(ペルム紀)の化石が発見されており、カンボジアの地質学的歴史の豊かさを示唆しています。
環境省は、カトット村のこの遺跡を観光名所として開発する計画を進めており、地域経済の活性化と地元コミュニティへの雇用創出を目指しています。ストゥン・セン州はラオスと国境を接し、メコン川沿いに位置する地域で、多様な民族が共存し、独特の洪水林や遺産サイトでも知られています。この化石木の発見は、この地域のさらなる観光資源としての可能性を広げるものです。
化石木の研究は、過去の気候や生態系を理解する上で貴重な手がかりとなります。ペトリファイド・ウッド(珪化木)は、鉱物によって木材の有機物が置換されて石化したもので、しばしば火山活動が活発な地域で見られます。カンボジアでのこの発見は、地球の進化の歴史に対する理解を深める機会を提供し、科学的および遺産保護の観点からさらなる研究が期待されています。