マレーシア初の野生動物用キャノピーブリッジ、ラングール（センザンショウ）の安全な移動を支援

マレーシア初の野生動物用キャノピーブリッジ「ヌミズ・クロスィング」が、2024年初頭にペナン州タンジュン・ブンガのレンバ・ペルマイに設置されました。この全長12メートルの構造物は、絶滅危惧種であるデュスキー・ラングール（メガネラングール）をはじめとする樹上性動物が、道路を安全に横断できるよう特別に設計されています。

この橋は、Langur Project Penang（LPP）が進める「ブリッジ・トゥ・コエグジスト（共に生きるための橋）」イニシアチブの一環です。このイニシアチブは、道路での野生動物の死傷事故を減らし、人間と野生動物の共存を促進することを目的としています。既にデュスキー・ラングールの家族がこの橋を利用している様子が確認されており、都市部の道路を安全に通過できる通路を提供することに成功しています。

LPPは2016年の設立以来、デュスキー・ラングールの生態研究、環境教育プログラムの開発、そしてマレーシア初の都市型キャノピーブリッジ建設に尽力してきました。デュスキー・ラングールはIUCNレッドリストで絶滅危惧種（EN）に分類されており、生息地の開発や道路建設などが生存を脅かしています。LPPは市民科学の取り組みを通じてボランティアを育成し、種の存続に貢献しています。

LPPの創設者であるJo Leen Yap博士は、このプロジェクトが市民科学の能力向上にも寄与し、マレーシアの人々が都市部のサルを観察し、科学チームのデータ収集を支援する機会を提供すると述べています。マレーシアでは交通事故による死傷者数が多く、キャノピーブリッジのようなインフラ整備は野生動物だけでなく、道路利用者の安全確保にも貢献する可能性があります。

LPPは、2025年末までにバトゥ・フェリンギ・ロード沿いに3つ目のキャノピーブリッジを設置する計画を進めています。この新しい橋は、デュスキー・ラングールだけでなく、他の樹上性動物の安全な移動経路となるだけでなく、人間と野生動物の責任ある関わり方を促進するための教育ツールとしても機能する予定です。