タイム誌、YouTube CEOニール・モハン氏を2025年「CEO・オブ・ザ・イヤー」に選出

YouTubeの最高経営責任者（CEO）であるニール・モハン氏が、タイム誌によって「2025年CEO・オブ・ザ・イヤー」に選出された。この選出は、数十億人の視聴者に影響を与えるプラットフォームを通じて、世界の文化形成における同氏の重要な役割を評価したものと見られる。2023年2月にYouTubeのトップに就任したモハン氏は、地球が消費する「文化的食糧」を育成したとタイム誌は評した。

モハン氏のリーダーシップの下、YouTubeはアテンション・エコノミー（注目経済）における地位を確固たるものにした。特に、YouTube TVは従来のケーブルテレビの代替として台頭し、2025年4月時点で940万人以上の加入者を獲得し、vMVPD（仮想マルチチャンネルビデオプログラミング配信業者）市場で40%のシェアを占めている。また、ショート動画のYouTube Shortsは月間20億人のログインユーザーを報告しており、モバイル視聴からテレビ画面視聴への重心移動が示されている。2025年には、YouTubeはテレビでの視聴時間においてNetflixを上回り、米国でのテレビ画面視聴の8.6%を占めるに至った。

モハン氏は、世界で最も強力な「気晴らしのマシン」を率いるにもかかわらず、その冷静な態度が注目されている。彼の学歴は、インドのラクナウで多感な学校生活を送った後、スタンフォード大学で電気工学の学士号を取得し、後に同大学のビジネススクールでMBAを取得した経歴に遡る。1985年に12歳で両親と共にインドのラクナウに移住した際、ヒンディー語とサンスクリット語の習得に努め、その論理的構造をコンピュータープログラミングに例えたと語っている。

CEO就任前、モハン氏はYouTubeのプロダクト責任者（Chief Product Officer）として、高度な収益化システムやレコメンデーションアルゴリズムといった主要機能の開発を指揮した。それ以前にはGoogleのディスプレイ・アンド・ビデオ広告部門を率い、2007年のDoubleClickのGoogleによる31億ドルでの買収にも重要な役割を果たした。彼の現在の戦略的焦点は、テレビ向けプラットフォームの最適化と人工知能（AI）の統合にあり、AIは人間の創造性を支援するものであり、代替するものではないとの哲学を掲げている。

2025年11月5日、モハン氏は製品およびエンジニアリング部門の大幅な再編を発表した。これは、視聴者製品、クリエイター＆コミュニティ製品、サブスクリプション製品の3つの垂直統合分野に焦点を当て、AI主導の野心にチームを適合させることを目的としている。このAIへの注力はGoogle全体の戦略とも連動しており、クリエイターがGemini AIを活用してショート動画のスクリプト生成やポッドキャストの動画化を効率化するツールの導入が進められている。モハン氏のリーダーシップは、プラットフォームの技術的進化と、クリエイターへの収益分配（過去3年間で700億ドルをパートナーに支払い）という二つの柱によって支えられている。