J.R.R.トールキンの名作「ホビットの冒険」の初版本が、オークションで31,200ポンド(約500万円)で落札されました。この初版本は、1937年にジョージ・アレン&アンウィン社から出版されたもので、当初1,500部が印刷されましたが、同年12月までに完売しました。第二次世界大戦中の紙不足もあり、初版本の希少性はさらに高まっています。
この特別な一冊は、バークシャー州の邸宅で偶然発見されたもので、相続されたものの長らく忘れられていたようです。グロスターシャー州のキンガムズ・オークショニアーズがオークションを主導し、当初の予想落札価格7,000ポンドから10,000ポンドを大きく上回る結果となりました。初版本にはトールキン自身による白黒の挿絵が収められており、特にカバー内側の折り返し部分にある、ルイス・キャロル(チャールズ・ドジソン)に言及する手書きの修正が注目されています。この修正は初版の初期印刷に見られる特徴の一つです。オークションハウスの専門家は、「これはまさにオークションの物語です。誰もが隠れたお宝を見つけることを夢見ていますが、まさにそれが現実になったのです」と述べています。この本は、オックスフォード大学の植物学者でトールキンとも交流があったとされるヒューバート・プリーストリー氏の蔵書から見つかった可能性があり、トールキンとの繋がりがその価値を一層高めているとみられています。