ピカソの知られざるドラ・マール肖像画、パリでオークションへ

編集者: alya myart

パブロ・ピカソがかつて愛したミューズ、ドラ・マールを描いた「花柄の帽子をかぶった女性の胸像」と題された未公開の肖像画が、パリのオークションハウス「ドルーオ」で出品されることが明らかになりました。この油彩画は1943年7月11日に制作され、1944年8月にフランスの個人コレクターによって購入されて以来、一般にはほとんど知られることのなかった作品です。オークションでの評価額は約800万ユーロ(約13億円)とされていますが、競争入札によってはさらに高値で落札される可能性も指摘されています。

ドラ・マールは、ピカソの芸術活動において約60作品にインスピレーションを与えた重要な存在であり、二人の関係はピカソの創作意欲を再燃させる上で大きな役割を果たしました。彼女はピカソの代表作「ゲルニカ」の制作過程を写真に収めるなど、芸術的な協力関係も築いていました。また、ピカソはマールを「泣く女」シリーズのモチーフとしても描いています。この新たな肖像画は、ピカソがマールを、憂いを帯びながらも調和のとれた表情で、色鮮やかな花柄の帽子をかぶせて描いたもので、当時のピカソの芸術的特徴を色濃く反映しています。

この作品がフランスでオークションに出品されるのは非常に珍しいことであり、ピカソの作品、特にドラ・マールを描いた肖像画の市場における希少性を示しています。ピカソの作品は、アート市場全体の動向を示す指標としても注目されており、近年の市場低迷の中でもその価値は揺るぎないものがあります。例えば、2006年には「ドラ・マールと猫」が9,521万6,000ドル(当時のレートで約108億円)で落札され、絵画としては史上2番目の高値記録を樹立しました。また、2022年には別のドラ・マールの肖像画が日本人コレクターによって2,160万ドルで落札されています。

今回の「花柄の帽子をかぶった女性の胸像」は、第二次世界大戦中の困難な時期に描かれたにもかかわらず、明るい色彩が特徴的であり、当時のピカソの作品としては異例であると、ピカソの孫であるオリヴィエ・ピカソ氏もコメントしています。この発見は、ピカソの多作なキャリアと、彼が深く関わった人間関係の複雑さを改めて浮き彫りにするものであり、アート界に新たな光を当てています。この作品は、コレクターにとってはピカソの芸術と人生の隠された一章に触れる貴重な機会となるでしょう。

ソース元

  • The Star

  • New Picasso portrait unveiled at Paris auction house

  • New Picasso portrait unveiled at Paris auction house

  • New Picasso portrait unveiled at Paris auction house

エラーや不正確な情報を見つけましたか?

できるだけ早くコメントを考慮します。

ピカソの知られざるドラ・マール肖像画、パリでオークションへ | Gaya One