映画監督ギレルモ・デル・トロが、長年にわたり収集してきた膨大なホラーコレクションの一部をオークションに出品することが明らかになりました。このコレクションは「ブリーク・ハウス」と名付けられ、サンタモニカの2つの邸宅に収められていた5,000点以上のアイテムが含まれています。最初のオンラインオークションは2025年9月26日にヘリテージ・オークションズにて開催されます。
この決断は、最近の山火事がコレクションに脅威を与えたことをきっかけとしており、デル・トロ監督はオークションを自身の遺産整理の一環と捉えています。彼はこれらの貴重な品々が将来の世代によって大切に保護され、評価されることを願っています。
オークションには、バーニー・ライトソンによる「フランケンシュタイン」のイラストや、H・R・ギーガーの「ザ・ツーリスト」のアートワークといった著名な作品が含まれます。特に、ライトソンが1983年のメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」のために制作した50点のペン画のうち2点が出品されます。そのうち1点はクリーチャーが川辺に隠れている様子を描いたもので、開始価格は20万ドル(約3,100万円)に設定されています。もう1点は、ヴィクター・フランケンシュタインがクリーチャーを追う場面を描いたもので、開始価格は10万ドル(約1,550万円)です。ライトソンの「フランケンシュタイン」のカバーアートは、2019年に120万ドル(約1億8,600万円)で落札されたこともあり、その芸術的価値の高さが伺えます。
「ヘルボーイ」のファンにとっては、ロン・パールマンが着用した象徴的なジャケット(開始価格4万ドル、約620万円)や、映画の象徴的なショットガン「ビッグ・ベイビー」(開始価格5万ドル、約775万円)もオークションに出品されます。デル・トロ監督はこれらのアイテムを「歴史的遺物」と表現し、その芸術的および歴史的重要性に対する理解と保存を期待しています。
今回のオークションは、デル・トロ監督の長年の収集家としての側面を浮き彫りにするものです。彼は、自身の作品である「クロノス」のレプリカや、「デビルズ・バックボーン」の制作メイクアップマスター、「パンズ・ラビリンス」のコンセプトアート、そして「ヘルボーイ」シリーズの40点以上の記念品なども出品しています。これらのアイテムは、単なる小道具や装飾品ではなく、人類にとっての「視聴覚の歴史の一部」であると監督は語っています。
山火事の脅威を経験したデル・トロ監督は、コレクションの保護と、それらが新たな愛好家の元で大切にされることを願う気持ちから、この決断に至りました。オークションは3部構成で行われ、今後も監督の情熱が詰まった貴重な品々が世に出される予定です。