ラトビアは、国家安全保障の強化と入国手続きの円滑化を目的として、2025年9月1日より第三国国民に対し、新たな電子渡航認証(ETA)の取得を義務付けることを発表しました。この措置は、カナダや英国、日本などで導入されている電子渡航認証システムの国際的な潮流に沿ったものです。
今回導入されるラトビアETAは、ラトビア独自の制度であり、将来的に導入が予定されているシェンゲン圏全体を対象とするETIAS(欧州渡航情報認証システム)とは異なります。ETAはラトビアへの入国にのみ適用され、渡航前にオンラインで個人情報や渡航に関する詳細な情報を提出する必要があります。申請は専用のオンラインシステム(eta.gov.lv)を通じて行われ、渡航予定日の少なくとも48時間前までに完了させる必要があります。システムは2025年8月29日の現地夜間に利用可能となる予定です。
ETAの申請が必要となるのは、欧州連合(EU)、欧州経済領域(EEA)、北大西洋条約機構(NATO)、経済協力開発機構(OECD)、スイス連邦、またはブラジル連邦共和国の国籍を持たず、かつラトビア発行の有効なビザまたは居住許可を所持していない全ての第三国国民です。これには、観光客やビジネス目的の旅行者だけでなく、他のシェンゲン協定加盟国発行のビザを所持している場合や、ラトビアの空港を乗り継ぎで利用する場合も含まれます。
申請時には、渡航目的、滞在予定期間と場所、旅程、連絡先情報に加え、申請者本人またはその近親者が公職、選挙への立候補、軍隊、治安機関、国境警備隊、税関、法務・外交サービス等に所属していたか、あるいは所属しているかといった情報も求められます。これらの情報は、国家安全保障当局が潜在的なリスクを特定し、未然に防ぐために活用されます。正確な情報を提供し、規定通りに申請を完了することが極めて重要であり、不備があったり、虚偽の情報が判明したりした場合、入国拒否や最大2,000ユーロの罰金が科される可能性があります。
なお、EU加盟国、NATO、OECD、スイス、ブラジルの国民は、このETA申請の対象外となります。また、外交官や特定の公務員なども免除される場合があります。ラトビアへの渡航を計画されている方は、この新しいETA要件について事前に十分にご確認いただき、余裕をもって申請手続きを進めることが推奨されます。