フィンランドのトゥルク大学による最新の研究によると、自然、特に森林での時間を過ごすことが、人間の幸福感に深く寄与することが明らかになりました。この研究では、単なる一時的な快楽を超えた「エウダイモニック・ウェルビーイング」と呼ばれる、人生における目的意識、自己受容、個人的成長、他者との良好な関係性といった、より持続的で意味のある幸福感が焦点とされています。
この調査には158名のフィンランド国民が参加し、幅広い年齢層で自然との触れ合いが自己受容感の向上や価値観の深化につながることが確認されました。研究者のヨハ・ヤレカリ氏は、自然が個人の優先順位を明確にし、自立心と成長を促す上で重要な役割を果たすと指摘しています。また、自然を基盤とした観光体験のデザインにおいて、利用者の深い変容を支援する協働的なアプローチがその価値を高めると強調されています。
フィンランドでは、国土の約7割が森林に覆われ、国民の生活に自然が深く根ざしています。「自然享受権」により、誰もが自由に森や湖にアクセスし、その恩恵を受けることが許されています。科学的にも、森林浴(シンリンヨク)はストレスホルモンの低減、免疫機能の向上、心身のリフレッシュに効果があることが示されています。フィンランドの人々にとって、自然は精神的な充足感を得るための不可欠な要素となっています。
専門家は、自然との関わりが日々の喧騒から離れて自己の本質に気づき、人生の羅針盤となる価値観を再確認する機会を提供すると分析しています。この研究は、自然がもたらす癒やしやリラクゼーション効果にとどまらず、個人の内面的な成長と人生の質を高めるための、より深い次元での貢献を示唆しており、人生の目的を見出し、より豊かで意味のある生き方へと導く自然からの普遍的なメッセージと言えるでしょう。