犬や猫との共同生活が、高齢期の認知機能低下を緩やかにする可能性が、最新の研究で示唆されています。50歳以上の7,900人以上を対象に18年間のデータを分析した結果、ペットを飼っている人は、記憶力や流暢な会話能力といった認知機能の低下が緩やかであることが明らかになりました。特に犬を飼っている人は、即時記憶と遅延記憶の低下が少なく、猫を飼っている人は、流暢な会話能力の低下が緩やかでした。この保護効果は、初期の認知機能が低い人でも観察されており、ペットとの頻繁で感情的に意味のある交流が、脳の主要な回路を積極的にサポートする可能性が示唆されています。
研究によると、犬や猫との交流は、魚や鳥のような他のペットとの交流と比較して、より独特な認知刺激を提供することが考えられています。これは、犬や猫の世話をすることが、注意、意思決定、感情調節に関連する前頭前野の活動を高めるためかもしれません。また、犬の飼い主は外出して他人と交流する機会が増える傾向があり、これが社会的孤立を緩和し、認知機能低下の加速を遅らせる要因となる可能性があります。猫の飼い主にとっては、その存在自体が、特に社会的なつながりが限られている高齢者にとって、豊かな社会的環境の代替となることがあります。これらの発見は、世界的な高齢化と認知症の増加という課題に対処する上で重要な意味を持つとされ、一部の専門家は、高齢者の責任あるペット所有を促進する公的政策の支持につながる可能性を示唆しています。