愛犬がお風呂の後、突然家中を駆け回ったり、体をこすりつけたりする行動は「FRAP（フレネティック・ランダム・アクティビティ・ピリオド）」と呼ばれ、犬のエネルギーと本能が織りなす現象です。この行動は、お風呂という体験が犬にとってストレスとなる場合があり、その緊張やストレスを発散するための手段と考えられています。水温の変化やシャンプーの香り、体を洗われる感覚などが犬に一時的な不快感や過剰な刺激を与えることがあり、お風呂後の疾走は、そうした状況から解放されたいという自然な反応と言えます。
また、犬は自分の本来の匂いに戻ろうとする本能を持っています。シャンプーによって自身の匂いが消え、代わりにシャンプーの香りがついた状態になることを不快に感じ、床や家具に体をこすりつけることで、本来の匂いを再び身にまとおうとします。これは、野生時代の名残であり、自分の匂いを隠すことで捕食者から身を守るという本能的な行動とも関連しています。さらに、濡れた被毛が重く不快であるため、素早く乾こうとする本能的な行動として体をこすりつけることもあります。ある研究によると、犬は体をこすりつけることで、約70%の水分を数秒で飛ばすことができるとされています。これらの行動は、単なるエネルギーの発散だけでなく、清潔になったことへの喜びや幸福感の表現である場合もあり、犬がリフレッシュしたと感じている証拠とも言えます。