ネパールで毎年恒例の犬への感謝の日「ククル・ティハール」が開催：忠誠心への深い敬意

ネパールでは毎年、5日間にわたるティハール祭の2日目にあたる「ククル・ティハール」が祝われます。これは、犬たちが示す揺るぎない忠誠心と社会への貢献に対し、深い敬意を表すための特別な日です。今年の祭典は10月20日に執り行われました。この日は、家庭で飼われている愛犬から、街をさまよう野良犬、そして社会に奉仕する使役犬に至るまで、すべての犬属の代表者に対して深い感謝を示す象徴となっています。

この祭りの期間中、すべての犬は敬意をもって迎えられます。犬たちには、感謝の印として美しい花のガーランド（首飾り）がかけられ、額にはティカ（赤い印）が施されます。さらに、彼らのために用意された豪華なごちそうが振る舞われます。これらの儀式は、人間と動物の間に存在する真摯な感謝の念を反映しています。

ネパールの文化において、この日は非常に神聖な意味を持っています。犬は、死の神であるヤマ（Yama）の使者と見なされており、亡くなった人々の魂を冥界へと導く役割を担うとされています。この日に犬を崇拝することは、ヤマをなだめ、家族の幸福と平和を確保することを目的としています。また、この儀式は、生と死、そしてその移行における断ち切れない絆を象徴しています。古代サンスクリット語の叙事詩『マハーバーラタ』には、ユディシュティラが彼の愛犬なしには天国に入ることを拒否したという記述があり、この絆の永遠の価値を強く示しています。

首都カトマンズでは、特にネパール警察のK-9ユニットに所属する使役犬たちに特別な配慮が払われます。これらの献身的な動物たちは、証拠品の捜索や救助活動において不可欠な任務を遂行しており、その重要な貢献が認められ、この日、然るべき表彰と特別なご褒美を受け取ります。

こうした儀式は、忠誠心、愛情、そして仲間意識といった普遍的な価値観が、人間の経験の枠を超えたものであることを強く再認識させてくれます。この祭典は、動物に対する社会の態度を見直し、思いやりと配慮を促す機会を提供しています。

ティハール祭は、ディパバリ（Deepavali）としても知られ、ダサイン（Dashain）に次いでネパールで2番目に重要な祝祭であり、5日間にわたって行われ、それぞれの日が異なる生き物への崇拝に捧げられています。ククル・ティハールの後には、豊穣と母性の象徴である牛を称える「ガイ・ティハール」が続き、その後、富の女神に捧げられる「ラクシュミ・プージャ」が行われます。この一連の祭りの締めくくりは、兄弟姉妹の絆を強める「バイ・ティカ」です。ネパール国外のディアスポラによっても世界中で祝われるククル・ティハールは、動物愛護の精神を広げる役割も果たしています。