神経外科医のマイケル・エグナー氏は、人間の意識が物理的な脳を超えて存在する可能性を示唆し、心と脳の関係に関する従来の考え方に挑戦しています。長年の臨床経験から得られた彼の洞察は、心の性質についての再評価を促しています。
特に注目されるのは、前頭葉の腫瘍摘出術を受けた患者の症例です。この手術中、患者は意識を保ち、会話を続けながら、前頭葉の大部分が切除されました。この経験は、エグナー氏に脳が心の唯一の源であるという考えに疑問を抱かせました。
エグナー氏は、てんかん治療のために行われた神経外科医ワイルダー・ペンフィールド氏の「モントリオール・プロシージャ」にも言及しています。ペンフィールド氏は、覚醒手術中に脳を電気刺激して脳機能をマッピングする研究を行いました。彼は、刺激によって運動、記憶、感情を呼び起こすことはできても、抽象的な思考を誘発することは決してなかったと観察し、抽象的思考は脳からではなく魂から生じると結論付けました。
2025年6月3日に出版されたエグナー氏とデニース・オレアリー氏の共著書『The Immortal Mind: A Neurosurgeon’s Case for the Existence of the Soul』では、これらの考えがさらに探求されています。これらの議論は、意識が単なる脳活動以上のものかもしれないという、唯物論的な意識観に疑問を投げかけ、神経科学や心の哲学における新たな研究の道を開いています。
エグナー氏の長年の経験、特に7,000件以上の脳手術の経験に基づいた彼の見解は、多くの科学者や医師が信じているような、魂の存在を否定する考え方に一石を投じています。彼は、脳は驚異的で神秘的で強力な器官であるが、それが私たち自身を形作るものではないと主張しています。むしろ、魂こそが私たちを私たちたらしめていると彼は考えています。彼の著書は、神経科学の重要な研究を引用し、脳だけでは心を説明できないという証拠を提示しています。現代の神経科学と広範な手術経験を通じて、損傷した脳の中にも、脳を超越した魂を持つ思考し、感じる人間が存在することを探求しています。さらに、結合双生児、昏睡状態の患者、臨死体験、人工知能に関する研究など、興味深い症例研究を通じて、精神的な人間の魂の存在についての科学的なケースを提示しています。これらの洞察は、人間の意識の謎を再考させ、よりオープンで好奇心旺盛なアプローチを促します。特に、ペンフィールド氏が抽象的思考や自由意志を脳刺激で誘発できなかったという発見は、エグナー氏の議論を裏付ける重要な証拠となっています。彼の研究は、心と脳の関係についての議論に、新たな次元を加えています。