ワシントンD.C.のユニオン駅で8月20日、JDヴァンス副大統領が国軍兵士にハンバーガーを配布した際、一部の聴衆からブーイングと抗議のヤジを受けた。この出来事は、トランプ大統領による首都の治安維持強化策「オペレーション・セーフガード」の一環として発生した。
ヴァンス副大統領は、ピート・ヘグセス国防長官、スティーブン・ミラー大統領補佐官と共に兵士たちを訪問し、感謝の意を示した。その際、集まった抗議者たちを「人々が地域社会を楽しむことを嫌っている」と評し、ワシントンD.C.は9日前よりも安全になっていると述べた。しかし、抗議者たちは「DCを解放せよ」などのスローガンを叫び、彼らの訪問に反対の意を示した。
トランプ大統領は8月11日に首都で「犯罪緊急事態」を宣言し、国軍兵士の増派を含む治安維持策を強化している。この措置は、連邦政府の移民・関税執行局（ICE）主導の不法移民対策計画とも関連している。この軍事化に対しては、国内および国際的な抗議活動や批判が起きており、メキシコ議会議員からは国家主権への懸念が表明されている。
一方、ワシントンD.C.の治安状況については、トランプ大統領が危機的状況を訴えるのに対し、市の指導者たちは30年ぶりの低水準にあると主張するなど、見解の相違がある。犯罪率の正確な評価は依然として議論の的となっている。
このような状況下で、6月14日には「ノー・キングス（王はいない）」と題された抗議活動が全米各地で展開され、トランプ政権の権威主義的な行動や国の軍事化に反対する数百万人が参加した。この運動は、大統領の行動が民主主義を脅かしていると非難している。
ヴァンス副大統領へのブーイングは、この政策に対する市民の複雑な感情と、首都における緊張した雰囲気を浮き彫りにした。副大統領は、抗議者たちを「クレイジーな人々」と呼び、ワシントンD.C.は「アメリカの偉大さの象徴」であるべきだと主張した。