国連南スーダン特別代表のボビー氏は8月18日、安全保障理事会で南スーダンの情勢悪化について報告した。同氏は、国際社会からの敵対行為停止や緊張緩和、対話への回帰を求める度重なる呼びかけにもかかわらず、「具体的な対応は得られていない」と指摘。この状況が、移行国家統一政府による和平合意実施能力を継続的に損なう違反行為と一方的な行動のパターンを生み出していると述べた。
ボビー氏は、現在の傾向が紛争の力学を、国家規模の暴力や共同体間の争いから、署名当事者や近隣諸国を含む他のアクターが関与する、より複雑な部族間の対立へと移行させる可能性が高いと警告した。この政治的膠着状態を打破するため、同氏は全ての当事者に対し、停戦合意への完全な再コミットメント、政治囚の解放、ハイレベルでの直接対話への参加、そして包括的な和平プロセスへの再コミットメントを強く求めた。特に、移行期の安全保障体制、移行期正義、憲法開発、そして選挙といった主要な課題への取り組みが急務であると強調した。
国連平和維持部隊は南スーダンとその国民を支援する決意を維持している。人道面では、状況は極めて深刻であり、資金不足により数百万人が命を救う支援を受けられずにいる。2025年4月から7月にかけて、約770万人が深刻な食料不安に直面し、そのうち8万3千人は壊滅的な状況に陥るリスクがあった。南スーダンの人道支援計画は、必要資金のわずか28.5%しか調達できていない。国際社会は状況を注視しており、人道および安全保障状況のさらなる悪化を防ぐためには、和平合意への新たなコミットメントが必要であると強調している。
最近の報道によると、南スーダンの和平プロセスは部族間の対立によってさらに複雑化している。2018年の包括的和平合意(R-ARCSS)の実施は遅々として進んでおらず、特に安全保障体制の整備や選挙準備の遅れが指摘されている。専門家は、これらの遅延が政治エリート間の権力闘争と結びつき、国民の信頼を損なっていると分析している。また、近隣諸国からの影響も無視できず、地域全体の不安定化要因となっている。人道支援の不足は、食料不安を深刻化させ、特に子供たちの栄養失調率を高めており、国際社会からの迅速かつ十分な支援が不可欠である。この状況は、南スーダンが平和と安定への道を歩む上で、国民一人ひとりが自身の状況をより深く理解し、建設的な解決策を見出すための機会となっている。