ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアとの将来的な交渉は現在の前線を基盤とすべきであり、最終的な平和合意には緊張緩和が不可欠であると述べました。欧州諸国および米国の支援の重要性を強調し、特にトランプ米大統領とロシアのプーチン大統領との会談を控えた状況で、安全保障の保証を得る上でこれらの支援が不可欠であると指摘しました。
ゼレンスキー大統領は、EUがウクライナの安全保障の保証に関して明確な姿勢を示していないこと、そしてロシアの侵略に対する集団安全保障について明確な立場を求めていることに言及しました。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、ウクライナの領土の一体性と主権の維持を強調し、「平和は力によって達成されなければならない」と述べ、ウクライナと欧州の安全保障上の利益を守るためには「強力な安全保障の保証」が必要であると付け加えました。フォン・デア・ライエン委員長は、ウクライナのEU加盟は「部分的な安全保障の保証」と見なしており、米国とロシアがこの点について同じ見解を持っているとトランプ大統領から聞いたと述べました。ゼレンスキー大統領は、EUとモルドバの加盟交渉プロセスを分割することには反対の立場を示しました。このような分割は、ウクライナに対する欧州の分裂、そして安全保障の保証に関する統一的かつ強固な姿勢の欠如を意味すると懸念を表明しました。フォン・デア・ライエン委員長は、ウクライナのEU加盟への道のりを引き続き支援すると述べ、これはそれ自体が安全保障の保証であるとしました。
過去の歴史的背景として、1994年のブダペスト覚書では、ウクライナが核兵器を放棄する見返りに、ロシア、米国、英国から安全保障の保証を得ました。しかし、2014年のロシアによるクリミア併合以降、この覚書の有効性が問われています。現在の状況において、ゼレンスキー大統領は、NATOの第5条のような実効性のある安全保障の保証を求めており、EU加盟もその一部と見なしています。欧州諸国は、ウクライナが「鉄壁の安全保障の保証」を持つべきであり、その軍隊にはいかなる制限も課されるべきではないと主張しています。また、欧州連合はロシアに対する制裁を継続・強化する方針であり、9月上旬には第19弾の制裁パッケージが発表される予定です。これは、ロシアが交渉のテーブルに着くまで経済的圧力を維持するという欧州の決意を示しています。トランプ大統領がウクライナへの安全保障の保証に貢献する意欲を示したことは歓迎されていますが、その具体的な内容については、米国と欧州の役割、そしてEUが何ができるのかについての詳細が不明確であるため、今後の課題となっています。ウクライナは、自国の運命を自ら決定できる唯一の国であると同時に、欧州は常に頼ることができる存在であるとゼレンスキー大統領は強調しました。