シリア南部のスワイダーで8月16日、数百人のドルズ(ドゥルーズ派)が民族自決を求める大規模な抗議活動を行った。これは、7月13日に発生したドルズ民兵とスンニ派ベドウィン部族との間の激しい宗派間衝突以来、最大規模のデモとなった。特に「民族自決」というスローガンが掲げられたことは、シリアのドルズ共同体にとって前例のない動きとして注目されている。
7月の衝突は、政府軍の介入を巻き込み、地域全体の緊張を一層高めた。シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、この一連の暴力行為で約1,600人が死亡し、その多くがドルズの民間人であったと報告されている。ドルズ側や監視団は、ダマスカス(シリア政府)がベドウィン部族側に肩入れし、ドルズ共同体に対して残虐行為を行ったと非難している。今回の抗議活動では、一部の参加者がイスラエルの国旗を掲げる姿も見られた。これは、7月中旬の衝突時にドルズ共同体を支援するために介入し、シリア政府軍を空爆したイスラエルへの感謝の表明と見られている。参加者たちは、ダマスカスの中央暫定政府への不信感を表明し、残虐行為の責任者の処罰を求めた。
ドルズ共同体は、シリアにおける重要な少数派であり、特に南西部のスワイダー県に集中している。歴史的に、彼らはシリアの政治においてその人口規模以上の影響力を行使してきた。今回のデモは、長年にわたる内戦と政権交代を経て、依然として不安定な状況が続くシリアにおける少数派の権利と自己決定への強い願望を浮き彫りにしている。
シリアの暫定政府は、宗派間暴力に関する調査委員会を設置し、3ヶ月以内に報告書を提出する予定である。しかし、このような動きは、3月に沿岸地域で発生した別の宗派間暴力事件においても、国連の調査委員会が政府軍および旧政権側の戦闘員による戦争犯罪の可能性を指摘していることからも、シリア国内の根深い緊張関係と、それがもたらす脆弱性を示唆している。
これらの出来事は、地域社会が自らの声を見出し、複雑な力学の中で安定した未来を模索しようとする、人間の精神の粘り強さの証と言えるだろう。それは、単なる政治的対立を超え、共同体が自らのアイデンティティと安全を確保しようとする、より深い探求の現れである。