米国国土安全保障省(DHS)は2025年9月3日、ベネズエラ国民に対する一時保護資格(TPS)を2025年9月10日付で終了すると発表しました。この決定は、トランプ政権によるTPS終了手続きの合法性に疑問を呈した連邦控訴裁判所の最近の判決にもかかわらず下されたものです。
DHS長官クリスティ・ノエム氏は、ベネズエラ国民の一時的な米国滞在許可は「アメリカの国益にかなわない」と述べ、公共の安全、国家安全保障、移民要因、移民政策、経済的考慮事項、外交政策を理由に挙げました。この終了により、2021年の指定以来、国外追放からの保護と就労許可を得ていた256,000人以上のベネズエラ国民が影響を受けます。
この決定は、2025年8月29日に第9巡回区連邦控訴裁判所が、トランプ政権が約60万人のベネズエラ国民に対するTPSを撤回したことは違法であった可能性が高いとの判決を下した直後に行われました。同裁判所は、DHS長官がTPSの延長を取り消す権限を欠いていた可能性が高いと判断しましたが、DHSはこの判決に異議を唱え、手続きを進めることを決定しました。
過去の同様の措置では、2023年に米国に入国した約35万人のベネズエラ国民に対するTPSが既に終了されており、これも法廷で争われています。米国移民関税執行庁(ICE)は、影響を受けるベネズエラ国民に対し、CBP Homeアプリを使用して自発的な出国を登録することを推奨しており、これには航空券や一時金などのインセンティブが含まれる場合があります。
この決定は、ベネズエラ国内の不安定な状況を理由に2021年にTPSが初めて指定されて以来、米国に居住する多くのベネズエラ国民の法的地位、就労許可、国外追放からの保護に直接的な影響を与えます。また、移民政策と行政府の権限に関する継続的な法的および政治的議論を浮き彫りにしています。フロリダ州は、TPS対象者の約半数が居住しているため、特に大きな影響を受ける地域の一つです。
この状況は、政府機関の決定と司法の判断との間の緊張関係を示しており、影響を受ける数多くの人々の将来に対する不確実性を生んでいます。この決定は、米国における移民政策の複雑さと、人道的な懸念と国家安全保障の間のバランスを取ることの難しさを浮き彫りにしています。