NASAは、「ムーンマスコット:アルテミスII ZGIデザインチャレンジ」の最終候補者25名を発表しました。この世界的なコンペティションは、来るアルテミスIIミッションにおいて、オリオン宇宙船内で微小重力状態への移行を示す視覚的な指標となるゼログラビティインジケーター(ZGI)のデザインを募集したものです。選ばれたデザインは、動物のキャラクターから神話上の存在まで、多岐にわたるコンセプトを提示しています。
ZGIの役割は、宇宙飛行士に無重力状態への移行を知らせる視覚的な合図を提供することです。前回のアルテミスIミッションでは、スヌーピーのぬいぐるみがこの役割を担いました。このZGIの伝統は、宇宙飛行士の子供たちの提案から始まったとされるソビエト連邦時代に遡り、NASAの商業宇宙船プログラムを通じて米国にも広まりました。アルテミスIIミッションは、2026年4月(目標)に予定されており、NASAのオリオン宇宙船と宇宙打ち上げシステム(SLS)ロケットによる初の有人飛行となります。このミッションは、1972年のアポロ17号以来となる、人類にとって初めての月以遠への有人宇宙飛行であり、月周回軌道への往還を通じて、将来の月面ミッションに向けた重要な技術実証を行います。
アルテミスIIのクルーは、NASAのリード・ワイズマン船長、ビクター・グローバー操縦士、クリスティーナ・コック技術士官、そしてカナダ宇宙庁(CSA)のジェレミー・ハンセン技術士官の4名で構成されています。彼らは、地球軌道での綿密なシステムチェックと、月への往還軌道での飛行を経験します。
今回のコンペティションには、世界各国から2,605件もの応募がありました。最終候補者25名は、カナダ、コロンビア、フィンランド、フランス、ドイツ、日本、ペルー、シンガポール、英国、米国など、多様な国々から選出されています。米国国内では、カリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、インディアナ州、カンザス州、メリーランド州、ネブラスカ州、テキサス州、バージニア州といった州からの応募が含まれています。
選ばれたデザインは、NASAのサーマルブランケットラボで実際に製造されます。Freelancerの最高経営責任者であるマット・バーリエ氏は、「これらの最終候補者はまさに『必要な資質』を持っていることを証明しました。彼らの創造性は驚くべきものであり、宇宙の理解という人類の探求において、その努力が認められたことを誇りに思うべきです」と述べています。このマスコットは、宇宙飛行士にとって故郷との繋がりを感じさせる存在となり、地球上の人々にとっては、宇宙への夢と希望を共有する象徴となるでしょう。このコンペティションは、技術的な偉業だけでなく、人間の創造性と探求心が宇宙という広大な舞台でどのように輝くかを示す、心躍る一歩と言えます。