Meta(旧Facebook)は、コードネーム「Hypernova」で開発を進めてきた初のディスプレイ搭載ARグラスを、2025年9月に発売する準備を進めていることが明らかになりました。当初1,000ドル以上、場合によっては1,400ドルに達すると見られていた価格設定ですが、より多くの消費者に手に取ってもらうため、開始価格を約800ドルに引き下げたとのことです。
この新しいスマートグラスは、右レンズに統合された小型ディスプレイを備え、ユーザーはスマートフォンを取り出すことなく通知、基本的なアプリ、アラートなどを確認できるようになります。操作は、手首の微細な動きをコマンドに解釈するニューラルリストバンドを通じて行われ、物理的なボタンやタッチパッドは不要となります。このリストバンドは、筋肉の信号を読み取る表面筋電図(sEMG)技術を使用しており、指のジェスチャーでグラスを操作することが可能です。
Hypernovaは、現在のスマートグラスと将来の本格的なARウェアラブルの中間に位置づけられています。高価なARヘッドセットのような没入感は提供しませんが、通知への迅速なアクセス、ナビゲーション、基本的な生産性ツールなど、日常的な使用に便利な機能を提供します。これは、高機能ながらも高価格とコンテンツライブラリの限定性で批判を受けているAppleのVision Proとは対照的なアプローチです。
グラスはカスタマイズされたAndroidバージョンを搭載し、MacのDockやMetaのQuestヘッドセットのユーザーインターフェースに似た、水平に配置された円形のアイコンを持つホーム画面を備えます。写真の撮影・閲覧や地図へのアクセスに特化したアプリも利用可能で、MetaのMessengerやWhatsAppを含む電話アプリからの通知も表示されます。
Hypernovaの発売は、ARグラス市場における競争の激化も浮き彫りにしています。AppleやGoogleも独自のデバイスを開発しており、Metaは手頃な価格と実用性に焦点を当てることで、より幅広い消費者層を獲得し、ウェアラブルAR技術の新たな基準を打ち立てることを目指しています。
なお、2025年8月18日現在、Meta Platforms Inc.(ティッカー:META)の株価は785.23ドルで、前日終値から0.42%上昇しています。この株価動向は、同社の技術革新への期待感を示唆しているとも言えるでしょう。