日本の次世代スーパーコンピューター「FugakuNEXT」、AIとHPCの融合で科学技術の飛躍を目指す

編集者: Veronika Radoslavskaya

理化学研究所(RIKEN)、富士通株式会社、NVIDIAは、次期主力スーパーコンピューター「FugakuNEXT」の開発に向けた国際的な連携を開始しました。このプロジェクトは、AIとハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)を融合させ、科学技術の新たな時代を切り拓くことを目指しています。2030年頃の運用開始を目指すFugakuNEXTは、科学的発見と技術革新を加速させる強力なプラットフォームとなることが期待されています。

FugakuNEXTは、富士通が開発する次世代CPU「MONAKA-X」とNVIDIAのGPUアクセラレーターを組み合わせたハイブリッドAI-HPCシステムとして設計されています。これにより、シミュレーション性能とAI処理能力の両方で世界をリードする能力を目指しています。特に、CPUとGPU間の高速データ連携を実現するNVIDIAの「NVLink Fusion」技術の採用は、システム全体のパフォーマンスを最大化する上で重要な役割を果たします。この統合により、気候モデリング、創薬、先進材料開発といった分野での発見が加速される見込みです。

開発予算は7億4000万ドル(約1100億円)を超え、現在のシステムと比較して計算能力を100倍にすることを目指しています。AI関連の計算ではFP8精度で600エクサフロップス(EFLOPS)を超える性能を目標としており、世界初のゼタスケール・スーパーコンピューターとなる可能性を秘めています。このシステムは、単なる計算速度の向上に留まらず、「科学のためのAI」という概念を具現化し、研究ワークフローの自動化を支援することで、科学的発見のサイクルを劇的に短縮することを目指しています。

FugakuNEXTの開発は、日本の科学技術競争力を強化し、技術的自立性を確立するための戦略的な取り組みでもあります。富士通が開発するMONAKA-Xプロセッサーは、日本の半導体技術の進化を象徴するものであり、グローバルなサプライチェーンへの依存を低減する狙いも含まれています。このプロジェクトは、日本の技術力を結集し、世界中の研究者や産業界に最先端の計算能力を提供するという、「Made with Japan」の精神を体現しています。

過去には、スーパーコンピューター「富岳」が2020年に世界最速と認定され、COVID-19パンデミック時にはその計算能力を駆使して、ウイルスの拡散シミュレーションや治療薬候補の探索に大きく貢献しました。FugakuNEXTは、この富岳の成功と技術的進歩を基盤とし、気候変動対策、医療の進歩、新素材開発など、現代社会が直面する複雑な課題解決に貢献することが期待されています。

ソース元

  • خبرآنلاین

  • RIKEN Research News

  • Fujitsu Press Releases

  • NVIDIA Press Releases

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