映画界の巨星であり、ファッションアイコンとしても知られた女優ダイアン・キートンが、現地時間2025年10月11日、カリフォルニア州の自宅で79歳で亡くなったことが確認された。この訃報は、雑誌『ピープル』など複数のメディアによって報じられた。家族の代理人は、この深い悲しみの時にプライバシーの尊重を求めている。
キートンは1946年1月5日にロサンゼルスでダイアン・ホールとして生まれ、1968年に活動を開始。そのキャリアは2024年まで続き、スクリーン上で数々の記憶に残る役柄を演じた。彼女の名を広く知らしめたのは、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ゴッドファーザー』シリーズ(1972年~1990年)におけるケイ・アダムズ役である。しかし、彼女の芸術的頂点の一つは、ウディ・アレン監督とのコラボレーション作『アニー・ホール』(1977年)でのタイトルロールであり、この演技でアカデミー主演女優賞を受賞した。
アレン監督は、キートンの死に際し、彼女の存在が世界を照らしていたと述べ、初期の共演時、二人が内気であったものの、ある休憩時間に彼女の魅力に気づき恋に落ちたという秘話を明かした。キートンはその後も『レッズ』(1981年)、『恋愛適齢期』(2003年)でアカデミー主演女優賞にノミネートされるなど、その才能は多岐にわたる作品で評価され続けた。また、彼女は生涯結婚を選ばず、後に養子として迎えた娘のデクスターさんと息子のデュークさんを残している。
彼女の遺産は演技の世界に留まらない。ネクタイやメンズジャケットを取り入れた「マニッシュ」な装いを公私で貫き、「ジェンダーレス・ファッション」の先駆者としてファッションアイコンの地位を確立した。この「キートンイズム」と呼ばれるスタイルは、年齢や流行に囚われない美学として、今なお多くの人々に影響を与え続けている。ロバート・デ・ニーロやメリル・ストリープといった共演者たちも、彼女の並外れた才能と人間性を称賛し、追悼の意を表している。