「オマハの賢人」として知られるバークシャー・ハサウェイの会長兼CEO、ウォーレン・バフェット氏(94歳)は、2025年末をもってCEO職を退任することを発表しました。60年以上にわたる経営手腕を発揮してきたバフェット氏の後任には、現在副会長を務めるグレッグ・エイベル氏(62歳)が就任します。エイベル氏はバークシャー・ハサウェイの次期リーダーとして、バフェット氏からの全幅の信頼を得ています。
バフェット氏はCEOの肩書は手放しますが、取締役会長としての関与は継続する意向です。バークシャー・ハサウェイへのコミットメントを改めて表明し、保有株式を相続財産として引き継ぐ考えを示しています。今回の経営陣交代は、バフェット氏が築き上げた強固な基盤の上で、エイベル氏がどのように企業を率いていくのか、世界中の投資家が注目しています。
グレッグ・エイベル氏は、1962年6月1日にカナダのアルバータ州エドモントンで生まれました。アルバート大学で商学を専攻し、卒業後はプライスウォーターハウスクーパースでキャリアをスタートさせました。その後、1992年にエネルギー企業であるCalEnergyに入社し、同社が2000年にバークシャー・ハサウェイの傘下に入ったことで、バフェット氏のグループの一員となりました。エイベル氏は、バークシャー・ハサウェイ・エナジー(旧MidAmerican Energy)のCEOを2008年から2018年まで務め、その間に再生可能エネルギーへの投資を拡大するなど、同社の成長に大きく貢献しました。2018年にはバークシャー・ハサウェイの取締役会に加わり、非保険事業部門の副会長に就任しました。
バフェット氏は、エイベル氏のリーダーシップ、勤勉さ、そして長期的な価値創造へのコミットメントを高く評価しており、「グレッグはバークシャーを次の時代に導くためのスキル、判断力、そして誠実さを持っている」と述べています。エイベル氏自身も、バフェット氏の哲学とバークシャー・ハサウェイの企業文化を継承していく決意を表明しています。今回の経営陣交代は、バークシャー・ハサウェイにとって一つの時代の終わりを告げるものですが、同時に新たな章の始まりでもあります。
バフェット氏はCEOを退任した後も、会長として会社の投資戦略や資本配分に関する意思決定に関与し続ける予定です。この円滑な移行は、長年にわたるバフェット氏の周到な後継者育成計画の集大成と言えるでしょう。