ウィル・スミスとジェイダ・ピンケット・スミスが設立したエンターテイメント企業ウェストブルックは、パラマウント・ピクチャーズと複数映画のファーストルック契約を締結しました。この提携は、フランチャイズ化の可能性を秘めた、世界中の幅広い層に受け入れられる映画の制作を目指すもので、特に既存の知的財産(IP)を活用した作品開発に重点が置かれます。
ウェストブルックはパラマウントのスタジオ内に拠点を構え、新たなクリエイティブ活動を展開します。この契約の一環として、チャック・ホーガンの小説「デビルズ・イン・エグザイル」を原作とするスリラー映画「シュガー・バンディッツ」と、「デューン」の共同脚本家ジョン・スペイツが脚本を手掛ける「ラビット・ホール」が初期プロジェクトとして開発されます。
この動きは、パラマウントがスカイダンス・メディアとの合併を経て映画製作体制を強化する戦略の一環です。パラマウントは年間映画製作本数を大幅に増加させる計画であり、今回のウェストブルックとの契約は、その戦略における重要な一歩となります。近年、パラマウントは「ストレンジャー・シングス」のダファー兄弟との契約や、ティモシー・シャラメ主演の「ハイ・サイド」の獲得など、有力な才能との連携を積極的に進めています。
ウェストブルックは、これまで「エマンシペーション」や興行的に成功を収めた「バッドボーイズ:フォー・ライフ」といった作品を手掛けており、フランチャイズ志向のコンテンツ制作における実績を持っています。ウィル・スミス自身も、「バッドボーイズ」シリーズや「メン・イン・ブラック」シリーズなどで長年にわたりハリウッドのトップスターとして活躍しており、その名前は世界的な興行収入を牽引する力を持っています。
今回の契約は、ウィル・スミスにとって新たな章の始まりとも言えます。ソニー・ピクチャーズとの長年の協力関係やストリーミング作品への取り組みを経て、劇場公開を前提としたIPベースの作品制作への回帰は、彼のキャリアにおける重要な転換点となるでしょう。パラマウントは、このパートナーシップを通じて、今後10年を定義するような複数のフランチャイズを生み出すことを目指しています。特に「シュガー・バンディッツ」は、ボストンでの麻薬取引撲滅を目指すエリート自警団を率いる元特殊部隊員を描く作品であり、ジョン・スペイツが手掛ける「ラビット・ホール」は、その詳細がまだ明かされていませんが、期待が寄せられています。この提携は、両社にとって新たな成功物語を紡ぎ出す可能性を秘めています。