パリのルイ・ヴィトン財団で9月3日に開催された「LVMHプライズ2025」の授賞式にて、日本人デザイナーの大月壮士氏がメンズウェア部門のグランプリを受賞しました。この賞は、40万ユーロ(約6,900万円)の賞金と、LVMHグループによる1年間のメンターシップを伴うものです。
大月氏が2015年に設立したメンズウェアブランド「Soshiotsuki(ソウシオオツキ)」は、日本人の精神性と熟練したテーラリング技術を融合させたスタイルを提案しています。彼の作品は、1980年代後半の日本の美学や、ヴィンテージのイタリア製ピースを現代的な視点で再解釈するアプローチが特徴です。文化服装学院で学んだ後、「ここのがっこう」で研鑽を積んだ大月氏は、2016年には早くもLVMHプライズのショートリストにノミネートされるなど、その才能は初期から注目されていました。
LVMHプライズは、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンが若手デザイナーの育成・支援を目的として2013年に創設した、世界で最も権威あるファッション賞の一つです。毎年2,000を超える応募の中から選ばれるファイナリストは、ルイ・ヴィトン、ディオール、フェンディといった著名メゾンのアーティスティック・ディレクターやエグゼクティブで構成される審査員団の前でプレゼンテーションを行います。今年の審査員には、ジョナサン・アンダーソン、ニコラ・ジェスキエール、ファレル・ウィリアムス、ニゴ、フィービー・ファイロ、サラ・バートンといったファッション界の巨匠たちが名を連ねました。
今回の授賞式では、大月氏の他に、イギリスのデザイナー、スティーブ・オ・スミス氏が「カール・ラガーフェルド賞」を、同じくイギリスのトリシェジュ・ドゥミ氏が「サヴォアフェール賞」を受賞しました。大月氏のグランプリ受賞は、日本人デザイナーとしては井野将之氏(2018年)、桑田悟史氏(2023年)に続く3人目の快挙であり、日本のクリエイターが国際舞台で高く評価されている証です。
このLVMHプライズ受賞は、大月壮士氏と「Soshiotsuki」ブランドにとって、新たな地平を切り開く大きな契機となるでしょう。賞金とメンターシップという強力なサポートを得て、彼は自身のクリエイティブな探求をさらに深め、より多くの人々にその独自のスタイルを届ける機会を得ました。