ビッグバン直後の初期宇宙の灼熱のるつぼでは、私たちが知っている物質は存在していませんでした。その代わりに、クォークとグルーオンの過熱された「スープ」が渦巻いており、これはクォークグルーオン・プラズマとして知られる物質の状態でした。
研究者たちは初めて、この原始的な状態を正確にモデル化し、宇宙の歴史における基本的で長らく捉えどころのなかった要素を明らかにしました。イタリアの研究チームによって達成されたこの画期的な発見は、宇宙の初期段階に対する前例のない洞察を提供します。
課題は、クォークを結合する強い核力にあります。この力は非常に強く、標準的な方程式には容易に従いません。これを克服するために、チームは高度な数値シミュレーション、具体的には格子量子色力学(QCD)とモンテカルロ法を組み合わせて使用しました。
このアプローチにより、電弱相転移に近い200京度を超える温度をシミュレートすることができました。その結果、クォークグルーオン・プラズマについてこれまでに得られた中で最も正確な状態方程式が得られ、基本的な熱力学的特性が結び付けられました。
驚くべきことに、これらの極端な温度下でも、クォークとグルーオンは自由ではありませんでした。強い力は、以前考えられていたよりも早く支配的であり続けました。この発見は、物質の誕生、粒子の形成シナリオ、および基本的な力の進化に関する私たちの理解を深めます。
この研究は、格子QCDのような高性能コンピューティング手法の可能性を強調しています。これらのツールは、力の統一や宇宙インフレーション後の瞬間など、基礎物理学の他の謎を解き明かす上で不可欠になります。宇宙の最初のマイクロ秒を理解することは、単なる理論ではなく、存在の根源を理解することなのです。