宇宙初期の膨張と物質分布を説明するインフレーション理論に代わる、重力波が宇宙膨張の原動力であるとする新たな理論が提唱されました。この研究はPhysical Review Researchに発表され、インフラトンと呼ばれる仮説上の粒子に頼るインフレーション理論に対し、観測可能な重力波をその駆動力とするシンプルかつ検証可能なアプローチを提案しています。
新理論では、重力波が時空のテンソル摂動によって生成され、初期宇宙のプラズマに密度のゆらぎを生み出すことで、最初の恒星や銀河、ブラックホールの形成を促し、宇宙の膨張を駆動したと考えられています。LIGOやVirgoによる重力波の直接検出は、この理論の基盤となる現象の存在を裏付けています。また、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した、予想よりも初期宇宙に存在する巨大な銀河の存在は、この重力波主導のシナリオと整合する可能性があります。この革新的な仮説は、宇宙の起源と進化に関する理解を深める上で、今後の検証が待たれます。