太陽光で浮遊する新デバイス、地球の中間圏探査に新境地を開く

編集者: Vera Mo

地球から約50〜100キロメートル上空に位置する中間圏は、現在の航空機や衛星技術では到達が困難な未踏の大気層です。この領域のダイナミクスを理解することは、気象予報や気候モデルの精度を大幅に向上させる可能性があります。この度、太陽光を利用して浮遊する軽量構造体を用いた中間圏探査の革新的な手法が発表されました。

この構造体は、セラミックアルミナ製で底面にクロム層を持つ素材で作られており、「光フォレーシス」と呼ばれる現象を利用して太陽光にさらされると連続的な推力を発生させます。光フォレーシスとは、ガス分子が物体の暖かい側と冷たい側で異なる力で反発することにより、非常に軽い物体を浮上させる推進力を生み出す現象です。この技術は、これまでアクセスできなかった大気圏の領域から、風速、気圧、温度などの重要なデータを収集する、高高度大気探査の新たな可能性を開きます。この情報は、気候モデルの調整や気象予報の改善に不可欠です。

さらに、同様のデバイスは通信分野でも応用が期待されており、低軌道衛星に匹敵するデータ伝送能力を持つ浮遊アンテナ網を形成し、地上に近いことから低遅延を実現する可能性があります。この研究は、太陽光技術を大気探査に活用する上で重要な一歩であり、気候科学および衛星通信に大きな影響を与える可能性があります。

この新しい技術は、ハーバード大学とシカゴ大学の研究者らによって開発され、2025年8月13日にネイチャー誌に掲載された研究で発表されました。彼らは、セラミックアルミナとクロム層で構成された超薄型の構造体を開発し、太陽光によって中間圏の低圧環境下で浮遊させることに成功しました。このデバイスは、燃料やバッテリーを必要とせず、太陽光のみで動作するため、持続可能な探査手段として期待されています。研究チームは、この技術が火星のような他の惑星の大気探査にも応用できる可能性も示唆しています。この革新的なアプローチは、これまで謎に包まれていた中間圏の理解を深め、気象予報や気候変動研究に新たな光をもたらすでしょう。

ソース元

  • Corriere Nazionale

  • Harvard John A. Paulson School of Engineering and Applied Sciences

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