近年、サメとエイの性染色体に関する研究が進み、脊椎動物の染色体進化に新たな知見がもたらされています。
国立遺伝学研究所の研究チームは、トラフザメとジンベエザメの全ゲノム配列を解析し、これらのサメ類のX染色体を同定しました。ジンベエザメのX染色体は、ヒトの12番染色体やニワトリの34番染色体に対応し、他の脊椎動物の性染色体とは異なる遺伝子構成を持つことが明らかになりました。これにより、サメ類は独自の性染色体を獲得した可能性が示唆されています。
さらに、トラフザメのX染色体上には、HoxC遺伝子群が連続して配置されていることが確認されました。HoxC遺伝子群は、他の脊椎動物では消失していると考えられていましたが、サメ類では保持されており、これらの遺伝子の組み合わせが鰭の位置や数などの形態の違いを説明する可能性があります。
これらの研究成果は、サメとエイの性染色体の進化を理解する上で重要な手がかりとなり、脊椎動物の染色体進化の多様性を示すものです。