インドのウッタラーカンド州は、激しい雨により深刻な洪水と混乱に見舞われており、状況は悪化の一途をたどっています。インド気象局(IMD)は、今後2日間、この地域で非常に激しい降水が予想されるとして、赤色警報を発令し、最大限の警戒を呼びかけています。
現在、多くの道路が土砂崩れや瓦礫により通行不能となっており、ジャワディ・バイパス道路やバトワディ付近の道路は寸断され、交通網に大きな影響が出ています。バドリンス・ハイウェイは再開されましたが、全体的な交通への影響は依然として深刻です。チャモリ地区では鉄砲水により女性1名が落石の直撃を受けて亡くなりました。インフラへの被害も甚大で、ホテルや住宅が濁流に流されるなどの報告が相次いでいます。ウッタラーカンド州では過去10年間で、洪水と土砂崩れにより705人が死亡しており、そのうち389人が洪水による犠牲者です。2025年8月5日にはウッタルカシ地区で発生した鉄砲水では、少なくとも90人が死亡し、50人以上が行方不明となっています。この災害は、気候変動と無計画な開発が複合的に影響し、ヒマラヤ地域の脆弱性を浮き彫りにしています。
専門家は、気候変動がこのような異常気象イベントの頻度と強度を高めていると指摘しており、ウッタラーカンド州のような地域では、より強力な政策対応と計画が求められています。特に、高標高地域では、気温の上昇とともに極端な降水が増加する可能性が指摘されており、早期警報システムやコミュニティ避難計画の策定が不可欠です。また、ヒマラヤ地域のインフラ開発における生態系の安定性への配慮も、今後の災害リスク軽減のために重要となります。