太平洋東部で発生した熱帯低気圧「イヴォ」は、メキシコのシナロア州に激しい雨を降らせています。8月7日現在、イヴォは最大風速95km/h、瞬間風速110km/hを維持し、北西へ33km/hで移動しています。メキシコのモンスーンとの相互作用により、シナロア州の複数の自治体で大雨となる可能性が高まっています。バディラグアトやロサリオなどの地域では、75mmから150mmの降水量が予想されており、土砂災害や洪水のリスクがあります。特にロサリオでは100戸の家屋が被害を受け、仮設避難所が設置されました。マサトランでは150戸の住宅が浸水し、マサトラン・クリュカン間の高速道路で発生した陥没により交通に支障が出ています。
イヴォは8月8日にはハリケーンに発達すると予想されていますが、メキシコ本土への上陸はしない見込みです。当局は、住民に対し、公式発表に注意を払い、州当局および市民保護の指示に従うよう呼びかけています。メキシコ北西部では、7月から9月にかけての降水量が年間降水量の60%から80%を占めるため、モンスーン期との複合的な影響が懸念されています。過去の事例では、2018年9月には熱帯低気圧による大雨でシナロア州の11の自治体に非常事態が宣言され、3名が死亡、多数の家屋が損壊しました。また、2023年8月にはハリケーン・ヒラリーの影響でシナロア州とバハ・カリフォルニア・スール州で洪水が発生し、死者も出ています。イヴォの接近に伴い、沿岸地域では高波や強風にも警戒が必要です。メキシコ国立水委員会(Conagua)は、ハリスコ州、コリマ州、ミチョアカン州にかけて最大5メートルの高波を予測しています。住民は、現地の市民保護機関が発表する勧告を注視し、指示に従うことが重要です。