パキスタン全土でモンスーンによる豪雨と鉄砲水により、802人が死亡し、1,088人が負傷したと、国家災害管理庁(NDMA)が8月26日に報告しました。この自然災害は国民生活に深刻な影響を与え、多くの地域で混乱と困難をもたらしています。
特に被害が甚大なのはハイバル・パシュトゥンクワ州で、これまでに479人の死亡者と347人の負傷者が報告されています。同州ブネル地区では、8月15日に発生した集中豪雨(1時間に150mm超の降雨)が壊滅的な鉄砲水を引き起こし、多くの家屋やインフラに甚大な被害をもたらしました。
この状況は、インドがカシミール地方のダムから水を放出したことでさらに複雑化しています。8月27日、インドはダムの全ゲートを開放し、パキスタンに対し下流での洪水のリスクを警告しました。これにより、パンジャブ州では、特にスルトゥージ川とラヴィ川の水位上昇への懸念から、15万人以上の住民が避難を余儀なくされています。
パキスタン気象局(PMD)は、主要河川の水位上昇に関する警告を発しており、特にラヴィ川のジャッサール地点では高水位が観測されています。チェナブ川では、今後24時間で「例外的に高い洪水レベル」に達する可能性が指摘されており、当局は警戒態勢を強化し、住民への避難指示や支援活動を進めています。
全国レベルでは、これまでに7,465棟の家屋が損壊し、5,584頭の家畜が犠牲になったと報告されています。2022年の壊滅的な洪水と比較しても、今回の被害は気候変動の影響が深刻化していることを浮き彫りにしています。
国際社会からの支援も寄せられています。国連は60万ドルの緊急援助を拠出し、英国も133万ポンドの支援を発表しました。これらの支援は、被災者への食料、医療、避難所の提供など、緊急の救援活動を支えるものです。