フロリダのサンゴ礁で深刻な脅威となっているサンゴ組織の白化病(SCTLD)に対し、プロバイオティクスが効果的な治療法として注目されています。Smithsonian国立自然史博物館とノースカロライナ大学ウィルミントン校の研究者らは、Pseudoalteromonas sp. McH1-7という細菌がSCTLDの進行を抑制する可能性を示す研究を行いました。
この研究では、Pseudoalteromonas sp. McH1-7がSCTLDに関連する細菌に対して広範な抗菌活性を示すことが確認されました。化学分析により、McH1-7がkorormicinやtetrabromopyrroleなどの抗菌物質を生成することが明らかになりました。また、遺伝子解析により、L-アミノ酸酸化酵素や複数の抗菌金属プロテアーゼ(pseudoalterins)をコードする遺伝子が同定されました。
実験室での試験では、McH1-7がSCTLDに感染したサンゴの進行を抑制し、病気の伝播を防ぐ効果が確認されました。これらの結果は、McH1-7がSCTLDの予防および直接的な治療法として有望であり、抗生物質の使用に代わる可能性を示唆しています。
この研究は、SCTLDがフロリダとカリブ海のサンゴ礁に深刻な影響を及ぼしている現状において、サンゴ礁の保護に向けた新たなアプローチを提供しています。