トルコのシャンルウルファ地方で進められている考古学調査により、ギョベクリ・テペとカラハン・テペの遺跡から、新石器時代の生活様式に関する驚くべき洞察が得られています。これらの発見は、人類の初期文明に対する理解を深め、その複雑さと洗練された側面を明らかにしています。
ユネスコ世界遺産であるギョベクリ・テペは、単なる儀式中心地という従来の説を覆し、古代住民が長期居住していた可能性を示唆しています。最近の発掘では、道具、石臼、多数の動物の骨といった生活の痕跡が発見されており、かつて考えられていたよりも複雑な社会構造の存在が示唆されています。2024年1月から7月にかけては32万6千人以上が訪問しました。また、2024年10月24日から2025年4月20日までローマのコロッセオで特別展が開催され、ギョベクリ・テペの遺物のレプリカが展示されました。
一方、カラハン・テペは紀元前9500年から10000年頃に遡るとされ、人類初の村落であった可能性が指摘されています。T字型の石碑や動物の彫刻が発見されており、ギョベクリ・テペとの文化的な繋がりが示唆されています。2023年時点での発掘率は約5%に過ぎず、今後の発見への期待が高まっています。
これらの遺跡は、2021年に開始された「タシュ・テペレル(石の丘)プロジェクト」の一環です。このプロジェクトは、ギョベクリ・テペを含む12の先史時代の遺跡を対象としており、新石器時代の人々の生活様式の包括的な理解を目指しています。
ギョベクリ・テペで発見された顔料で彩色されたイノシシの彫像は、中石器時代における最古級の彩色彫像の一つと考えられています。カラハン・テペからは、炭化された種子や穀物が見つかっており、これらは採集活動が食料生産へと移行していく過程を示唆しています。これらの発見は、人々が定住し、一年を通じて生活を営んでいた証拠となり、農業の始まりと定住生活の関係性についての従来の理解に新たな光を当てています。
ギョベクリ・テペとカラハン・テペでの継続的な発掘と研究は、人類がどのようにして複雑な社会を築き上げ、文明の礎を築いたのかという問いに対する答えを徐々に明らかにしつつあります。