近年、南極海において、塩分濃度が急激に上昇していることが確認され、専門家の間で懸念が広がっています。これは、長年にわたる傾向とは逆の動きであり、水温の上昇と水中氷の加速的な融解と関連していると考えられています。
米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された研究によると、2015年以降、南緯50度以南の海域で塩分濃度が急増しており、マウド海嶺ポリニアの再出現と時期が一致しています。この塩分濃度の増加は、主に氷床や海氷の融解によって海水中に塩分が放出されることが原因であると指摘されています。さらに、海水の温暖化がこの融解を加速させていることも明らかになっています。研究では、氷床の更なる不安定化、海流の変化、そして塩分濃度の上昇が更なる温暖化を招くというフィードバックループなど、潜在的な影響についても詳細に言及しています。
研究者のオルメド氏は、この変化が二酸化炭素と熱の放出を引き起こし、直ちに政治的な行動が必要であると警鐘を鳴らしています。この問題は、地球全体の気候変動に影響を及ぼす可能性があり、日本を含む世界各国が協力して対策を講じる必要性が高まっています。日本においても、環境問題への関心は高く、持続可能な社会の実現に向けて、政府、企業、そして国民一人ひとりが意識を高め、具体的な行動を起こしていくことが求められています。