2025年8月19日、インドの株式市場は、物品・サービス税（GST）改革への期待と堅調な経済見通しに牽引され、大幅な上昇を記録しました。この日、BSEセンセックスは676ポイント上昇し81,274をつけ、NSEニフティ50も約1%上昇して24,877に達し、市場全体の広範な強さを示しました。
自動車、耐久消費財、不動産セクターがこの上昇を主導し、2%から4%の増加を見せました。金属、FMCG、通信、民間銀行セクターも市場の上昇に貢献しました。この力強いパフォーマンスは、国内経済の堅調さと、政府による構造改革への期待感の表れと言えます。外国機関投資家（FII）も前日（8月18日）に約550.85億ルピー相当の株式を購入しており、市場への信頼感を示唆しています。
市場の楽観ムードの主な要因は、物品・サービス税（GST）制度の抜本的な改革への期待感です。専門家からは、この改革が「ゲームチェンジャー」であり、経済成長を促進する「再評価の引き金」になるとの見方が示されています。モルガン・スタンレーは、この改革がGDP成長率を50〜70ベーシスポイント押し上げる可能性を指摘しており、コタック・エクイティーズは2.4兆ルピー規模の需要拡大効果を予測しています。この改革は、税率構造を簡素化し、消費を刺激することで、インフレ圧力を緩和し、国内需要を後押しすると期待されています。エマケイ・リサーチは、この改革が市場のNifty50を2026年9月までに28,000ポイントに押し上げる可能性があると予測しています。
株式市場の上昇と並行して、インド・ルピーも対米ドルで堅調に推移し、約87.35〜87.39ルピーで取引を終えました。これは、米国の関税リスクの後退、減税策への期待、そして地政学的な緊張緩和の兆候などが複合的に作用した結果と考えられます。一方、商品市場では、金価格は2週間ぶりの安値近くに下落し、10グラムあたり99,860ルピーとなりました。しかし、銀先物（9月限）は約201ルピー上昇し、1キログラムあたり114,144ルピーで取引されました。
インド経済は、2025年にかけて6.3%から6.5%の成長が見込まれており、世界でも最も速いペースで成長する国の一つであり続けると予測されています。このような力強い経済見通しに加え、S&Pグローバル・レーティングスによるインドの長期信用格付けの『BBB-』から『BBB』への引き上げ（18年ぶり）は、国の財政健全化と構造改革への信頼をさらに高めました。この格付け引き上げは、国内需要の強さ、財政規律、そして安定した金融政策を反映したものであり、インド経済の回復力と政策の安定性に対する国際的な評価を示すものです。
総じて、2025年8月19日のインド株式市場は、GST改革への期待、堅調な経済指標、そして格付け引き上げといった複数のポジティブな要因に支えられ、力強い上昇を見せました。これらの要因は、インド経済の持続的な成長と、投資家心理の改善に寄与するものと見られます。