暗号資産(仮想通貨)市場において、ビットコイン(BTC)の巨額保有者、いわゆる「クジラ」たちが、イーサリアム(ETH)への資産再配分を加速させていることが明らかになりました。この動きは、イーサリアムの機関投資家による採用拡大と、市場全体のセンチメントの変化を反映した重要なトレンドを示唆しています。
最近のデータによると、ある著名なビットコインクジラは、約670 BTC(7,600万ドル相当)を売却し、その資金を68,130 ETHのロングポジション構築に充てました。これは、単なる個別の取引ではなく、資本がビットコインからイーサリアムへとシフトしている広範な傾向の一部と見られています。実際、イーサリアムへの日次資金流入額は、ビットコインに匹敵する規模に達しており、市場の関心がイーサリアムに集まっていることを示しています。
この資産再配分の背景には、イーサリアムの技術的優位性と、機関投資家からの需要増加があります。イーサリアムはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)コンセンサスメカニズムを採用しており、これにより年率3~5%のステーキング報酬が可能となり、投機的な資産から利回りを生み出す準備資産へとその性質を変えています。さらに、米証券取引委員会(SEC)がイーサリアムを「有価証券ではない」と分類したことや、現物償還が可能なイーサリアムETFの承認見通しは、機関投資家の参入を大きく後押ししています。現在、機関投資家はイーサリアムの総流通供給量の約8%近くを保有しており、これは2025年初頭から300%の増加に相当します。ブラックロックやフィデリティといった大手金融機関も、イーサリアムETFを通じて巨額の資金を投じており、その保有量は増加の一途をたどっています。
著名な暗号資産アナリストであるウィリー・ウー氏は、資本がビットコインからイーサリアムへとローテーションしていることを指摘しており、これは「アルトコインシーズン」の到来を示唆する前兆であると分析しています。ビットコインの価格が調整局面を迎える中、イーサリアムは機関投資家からの継続的な資金流入と、その基盤となるDeFi(分散型金融)エコシステムの拡大により、堅調なパフォーマンスを示しています。8月にはイーサリアムの市場時価総額が4兆ドルに迫る勢いを見せ、市場全体のセンチメントを牽引しています。
イーサリアムの技術革新も、その魅力を高める要因となっています。EIP-1559によるバーンメカニズムはデフレ圧力を生み出し、ステーキングの経済性と相まって、長期的な価値保存手段としてのイーサリアムの魅力を高めています。これらの要因が複合的に作用し、多くの投資家がイーサリアムをポートフォリオの主要な構成要素として位置づける動きが加速しています。この資本移動は、暗号資産市場の成熟と、ビットコイン一強時代から多様なアセットクラスへの関心が広がる新たな局面を示唆していると言えるでしょう。