ビットコイン（BTC）の保有者は、5月初旬の一時的な売り控えの後、再び資産の売却を開始しました。これは、ビットコインが3月の過去最高値水準を下回って取引されている状況下で観測されています。ブルームバーグのアナリストによると、長期保有者の実現利益・損失比率は2.8に達し、これはグラスノードによって記録された過去最高値であり、歴史的に価格調整の前兆とされてきました。ビットコインの価格は、8月17日時点で117,525ドル付近で推移しており、日中の高値は117,948ドル、安値は117,268ドルとなっています。この状況は、市場に短期的な価格圧力を及ぼす可能性があり、中期的には市場に影響を与えることが懸念されています。特に、Mt. Goxの債権者への約94億ドル相当のデジタル資産の支払い（約127,000人のユーザーが対象）や、ドイツ当局によるビットコインの取引所への移管などが、潜在的な売り圧力の要因として挙げられています。
一方で、マイナーによる売り圧力の低下や、スポットETFへの流入増加といったポジティブな要因も存在します。JPモルガンアナリストは、Mt. Goxからのビットコインの一部が売却されると見ており、市場に大きな影響を与えると予想していますが、8月中の「ダンプ」の後には回復が見られると予測しています。コインデスクのアナリストは、65,000ドルを重要なレジスタンスレベルとして特定しています。過去のサイクルでは、ビットコインの価格が過去最高値を更新した後、利益確定の動きが見られましたが、今回の状況は、長期保有者の行動に変化が見られる点が注目されています。例えば、2024年11月から12月にかけての利益確定の波は短期保有者が主導していましたが、今回は2020年から2022年のサイクルで購入した長期保有者が利益を確定させていることが示唆されています。しかし、これらの長期保有者の多くは、ビットコインの歴史的な価格上昇を考慮すると、資産を保有し続ける傾向にあるとも考えられています。市場のセンチメントは複雑であり、これらの売り圧力要因と、ETFへの継続的な流入や企業によるビットコイン保有の増加といった買い圧力要因が拮抗しています。投資家は、これらの要因を注視し、市場の動向を慎重に見極める必要があります。特に、米国のインフレ指標（CPI、PPI）の発表は、連邦準備制度理事会（FRB）の金融政策に対する期待に影響を与え、市場のボラティリティを高める可能性があります。