伝説的な投資家ウォーレン・バフェット氏(94歳)は、2025年末をもってバークシャー・ハサウェイのCEOを退任する意向を表明しました。後任には、同社の副会長であるグレッグ・エイベル氏が指名されました。バフェット氏は長年にわたり同社を率い、世界で最も影響力のある投資家としての地位を確立してきました。バークシャー・ハサウェイは1965年から2024年にかけて、年平均約20%という驚異的な複利成長を遂げ、S&P500の同期間の平均リターン約10%を大きく上回りました。
バークシャー・ハサウェイは2024年末時点で過去最高の3,342億ドル(約50兆円)の現金準備高を記録しました。これは、世界経済の不確実性と魅力的な買収機会の不足を背景とした慎重な投資アプローチを反映しています。バフェット氏は、手元資金の大部分は引き続き株式、特にアメリカ企業に投資されると株主への書簡で述べています。また、日本の主要な5つの総合商社への投資を継続しており、2024年末時点でその保有額は235億ドルに達しています。これらの長期保有銘柄に対する自信も表明しています。
資本配分に関しては、バフェット氏は2024年第4四半期には株式の買い戻しを行わなかったことに言及しました。これは、1%の物品税が影響したためです。彼は、低コストのS&P500インデックスファンドへの継続的な投資を推奨するという自身の投資哲学を改めて強調し、株式を債券や現金に切り替えることには注意を促しました。バフェット氏は、グレッグ・エイベル氏の下でのバークシャー・ハサウェイの将来は、自身の経営下よりもさらに良くなるだろうと確信を表明しています。
グレッグ・エイベル氏はカナダ出身で、エドモントンで育ちました。1999年にバークシャー・ハサウェイがミッドアメリカン・エナジーに支配株主として出資した際に同社に入社し、その後、同社をバークシャーの中核事業へと成長させました。2018年には副会長に就任し、非保険事業部門全体を統括していました。エイベル氏はその戦略的思考と誠実さで知られ、バークシャーのいくつかの最も成功した買収を主導してきました。バフェット氏はエイベル氏を「非常に幸運な人材」と称賛しています。
バフェット氏の投資哲学は、長期的な視点に立ち、分散投資の重要性を説いています。特に、低コストのS&P500インデックスファンドへの投資は、多くの個人投資家にとって最良の選択肢であると繰り返し述べています。これは、プロのファンドマネージャーでさえ市場平均を継続的に上回ることが難しいという事実に基づいています。バフェット氏自身も、2008年にS&P500インデックスファンドが多くの投資専門家の選択を上回るとの100万ドルの賭けを行い、勝利しています。この哲学は、バークシャー・ハサウェイの現在の巨額の現金準備高と、将来の機会への備えという文脈においてもその重要性を増しています。