イタリアのユニクレディ銀行が、金融派生商品を株式に転換し、ドイツのコメルツバンクへの出資比率を20%に引き上げました。これにより、ユニクレディはドイツ第2位の銀行であるコメルツバンクの筆頭株主となりました。
ユニクレディは、残りの派生商品についても株式への転換を進め、出資比率を最大29.9%まで高める意向を示しています。しかし、30%を超える出資となると、正式な買収提案が必要となり、ユニクレディは現時点ではこれに踏み切っていません。ドイツ国内では、メルツ首相やクリングベイル財務大臣をはじめとする政府関係者が、この買収の可能性を「敵対的」とみなし、強く反対しています。
一方、コメルツバンクは、ユニクレディの買収への対抗策として、2028年までに約10%の人員削減、約3,900人の雇用への影響を計画しています。欧州中央銀行(ECB)は、ユニクレディの出資比率増加計画を承認しましたが、更なる規制当局の承認が必要となります。
今回の動きは、日本の金融機関にとっても他人事ではありません。近年、海外の金融機関による日本の銀行への資本参加や買収の動きも活発化しており、国内の金融業界は常に変化の波にさらされています。今回の事例は、グローバルな金融市場における競争激化と、各国の金融機関が直面する課題を浮き彫りにしています。