2025年7月1日、ロンドンのクリスティーズにおいて、歴史的な瞬間が訪れました。カナルーの『ヴェネツィア、昇天祭のブチントーロの帰還』が、オークション記録を塗り替えたのです。
1732年頃に制作されたこの絵画は、3190万ポンド（約55億円）という驚くべき価格で落札され、事前評価を大きく上回りました。これは、カナルー作品としては過去20年間で市場に出回った中で最大規模のものです。
クリスティーズのディレクター、アリス・ド・ロクマレル氏が代理を務めた匿名の電話入札者によって、この傑作は手中に収まりました。この絵画は、イギリス初の首相であるロバート・ウォルポール卿の所有物であったという由緒ある経歴も持っています。
この記録的な落札は、カナルー作品の不朽の魅力と、ヴェネツィア美術への根強い需要を改めて示すものです。絵画は、1736年にウォルポール卿が所有していた10 Downing Streetのコレクションの一部として初めて記録されました。今回のオークションは、美術市場において重要な節目となるでしょう。
このニュースは、日本の美術愛好家や投資家の皆様にとっても、大変興味深いものでしょう。日本の美術市場においても、歴史的価値と芸術的価値を兼ね備えた作品への関心は高く、今後もこのような高額落札のニュースが注目されることが予想されます。また、この絵画が描かれたヴェネツィアの風景は、日本の伝統的な水墨画や浮世絵にも通じる美しさがあり、日本人の美的感覚にも訴えかけるものがあると考えられます。