2026年第68回グラミー賞ノミネート発表：ケンドリック・ラマーが最多9部門でリード

米国レコーディング芸術科学アカデミーは、音楽業界で最も権威ある賞の一つである2026年第68回グラミー賞のノミネート作品を公表しました。今回の発表において、圧倒的な存在感を示したのはラッパーのケンドリック・ラマーであり、彼は9部門という最多ノミネートを獲得し、対象期間における彼の揺るぎない影響力と芸術的な力を改めて証明しました。

特に、彼のアルバム『GNX』は、音楽界で最も権威あるとされる主要な3部門、すなわち「年間最優秀アルバム」、「年間最優秀レコード」、そして「年間最優秀楽曲」に同時に選出されました。アーティストのキャリアにおいて、この「ビッグ・スリー」に同時にノミネートされるのは、今回で3度目となります。これは、現代音楽界の偉大な名前が持つ記録に匹敵する、驚くべき偉業です。さらに特筆すべきは、『GNX』がラマーにとって5作連続の「年間最優秀アルバム」ノミネートという快挙を達成したことであり、これはグラミー賞の歴史における新たな記録を打ち立てました。彼の継続的な創造性と影響力が評価された形です。

ラマーに続くのは、ポップスターのレディー・ガガ、プロデューサーのジャック・アントノフ、そしてカナダ人作家兼プロデューサーのCirkutの3組で、それぞれ7部門でのノミネートを獲得し、高い評価を得ています。ガガにとって、主要3部門すべてに同時にノミネートされるのは今回が初めてのことです。アントノフは再び「年間最優秀プロデューサー」のタイトルを狙っており、Cirkutも同じカテゴリーで競合しています。Cirkutは、レディー・ガガ、Rosé、そしてブルーノ・マーズとの成功したコラボレーションを通じて、その実力を示しています。

「年間最優秀アルバム」には、他にもジャンルを超えた注目すべき作品が並びます。ノミネートされたのは以下の通りです。

• バッド・バニー (『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』)

中でもバッド・バニーは、すべての主要3部門に同時にノミネートされた初のスペイン語圏アーティストとなりました。これは、グローバルな音楽シーンにおける文化的な平等性が新たな段階に入ったことを示す、極めて重要な出来事と言えます。

また、将来の音楽シーンを担う才能を選出する「最優秀新人アーティスト」部門では、オリヴィア・ディーン、Katseye、そしてアディソン・レイが名を連ねています。彼らのプロジェクトは、商業的な華やかさから、より誠実で個人的な表現へと美学が移行しつつある、現代の音楽トレンドの変化を象徴しています。

第68回グラミー賞授賞式は、2026年2月1日にロサンゼルスのCrypto.com Arenaで開催される予定です。この栄えあるイベントに向けて、審査対象となったのは、2024年8月31日から2025年8月30日の期間にリリースされた音楽作品です。この選考期間は、現代のサウンドが持つ生きた、流動的な勢いを反映しています。特に、ジャンル間の境界線が曖昧になり、楽曲の核心に「意味」やメッセージ性が宿るという、現代音楽の大きな潮流を捉えたサイクルであると言えるでしょう。