海南大学、量子相関に基づき時間の不可逆性を説明する新理論を提唱

編集者: Irena I

人間の根源的な問いの一つである、時間が物理的に一方向へ進む「時間の矢」の不可逆性について、中国の海南大学の研究チームが新たな理論的説明を提示した。物理学者である蔡清宇氏の指導の下で進められたこの研究は、2025年末に学術誌『Annals of Physics』で公表された。この理論は、従来の熱力学的時間的矢の解釈に対し、量子的な外部からの説明を補完するものである。

古典力学や相対性理論の法則は時間反転対称性を持つが、ガラスが砕けるといった日常的な非可逆性との間に長らく矛盾が存在していた。蔡氏のチームは、この問題に量子的な視点から取り組み、特に量子相関の増大率に焦点を当てた。彼らの提案は、熱力学第二法則を基盤としつつも、量子システム内部のダイナミクス、すなわち粒子間の相互作用によって生じる相関の蓄積が不可逆性を生み出すと主張する。

この新理論の核心は、二つの量子粒子が相互作用する際に形成される量子的な繋がり、情報的な「握手」にある。研究チームは数学的な「ノー・ゴー定理」を援用し、一度これらの相関が確立されると、環境の状態にかかわらず、粒子の初期情報を消去したり回復したりする物理プロセスは存在しないことを証明した。彼らは、この情報が回復不能な形で転送されるプロセスこそが、時間の経過の一方向的な性質を生み出す根本原因であると示唆している。このアプローチは、外部の観測に依存せず、量子システムの内部進化から時間の方向性が自然に現れる点に特徴がある。

2025年における他の研究では、環境との量子もつれ(エンタングルメント)の増加がデコヒーレンス現象と時間の矢を引き起こすという仮説が示されていたが、蔡氏の理論は、その相関の不可逆的な記録こそが時間の矢の基礎であると強調する。中国科学院の上級理論物理学者である孫長譜氏は、この研究が「科学における最も深遠な問いの一つに触れている」と評価し、ミクロな法則と日常経験を結びつける上で重要であるとの見解を示した。

この不可逆的な情報伝達の帰結は、過去の時間の「課税」が、過去の情報がこのプロセスを通じて現在に本質的に符号化されているため、現実の構造を支配する根本法則の違反を必要としないことを示唆する。さらに、開いた量子システムにおける不可逆的な量子相関を示す新たな実験は、我々が想定する時間の安定性が静的ではない可能性を示唆している。他の研究では量子相関の増加が熱力学の法則を局所的に破り時間の矢の反転を可能にすることが示されているが、海南大学の理論は、その相関の不可逆的な記録そのものに焦点を当てている点で区別される。

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ソース元

  • Techgear.gr

  • vertexaisearch.cloud.google.com

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  • New Scientist

  • University of Surrey

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