U.S. Bank、規制明確化を受け機関投資家向けビットコインカストディサービスを再開
編集者: Elena Weismann
大手金融機関であるU.S. Bankは、機関投資家向けのビットコインカストディサービスを再開しました。このサービスは、以前は規制上の課題から一時停止されていましたが、証券取引委員会(SEC)によるスタッフ会計指針121(SAB 121)の廃止を受け、ビットコインETF(上場投資信託)への対応も拡充して提供が再開されました。この動きは、伝統的金融とデジタル資産市場の融合が進む中で、機関投資家のデジタル資産への関心が高まっていることを示す象徴的な出来事と言えます。
U.S. Bankは2021年に初めてデジタル資産のカストディサービスを開始しましたが、2022年初頭に規制上のハードルに直面しサービスを一時停止していました。その主な要因の一つがSAB 121でした。この指針は、カストディアンが保有する暗号資産をバランスシート上の負債として認識することを求めており、銀行にとっては資本負担が増加し、サービス提供の経済的な実現可能性を低下させるものでした。しかし、2025年初めにSECがSAB 121を廃止(SAB 122として)したことで、この大きな障害が取り除かれました。これにより、銀行は暗号資産の保管・管理サービスを、より有利な会計処理の下で提供できるようになりました。
今回のサービス再開にあたり、U.S. Bankのウェルスマネジメント、コーポレート、コマーシャル、および機関投資家バンキング部門のバイスチェアであるスティーブン・フィリップソン氏は、「2021年に初めて暗号資産カストディを提供した銀行の一つであることを誇りに思っており、今年サービスを再開できることを嬉しく思います。規制の明確化が進んだことで、ビットコインETFへの対応も拡充し、カストディおよび管理サービスを求めるファンドマネージャーにフルサービスのソリューションを提供できるようになりました」と述べています。また、ビットコインのサブカストディアンを務めるNYDIGのCEO、テジャス・シャー氏は、「NYDIGは、U.S. Bankのビットコインカストディサービスの主要プロバイダーとして提携できることを光栄に思います。共に、伝統的金融と現代経済の間のギャップを埋め、規制された金融機関に期待される安全性とセキュリティを備えたビットコインへのアクセスをグローバルファンドサービス顧客に提供できます」とコメントしています。
U.S. Bankのウェルスマネジメント、コーポレート、コマーシャルおよび機関投資家バンキング部門は、2025年6月30日時点で11.7兆ドルを超えるカストディおよび管理資産を抱えています。この大規模な基盤を持つ同銀行がデジタル資産分野に再び注力することは、市場全体に大きな影響を与える可能性があります。この動きは、シティーグループのような他の大手金融機関も同様のデジタル資産カストディおよび決済サービスの検討を進めているという報道もあり、業界全体のトレンドを示唆しています。
規制環境の整備と、機関投資家からのデジタル資産への需要の高まりを背景に、U.S. Bankのビットコインカストディサービスの再開は、金融市場の進化における重要な一歩と見なされます。これは、機関投資家がデジタル資産をより安全かつ効率的に管理するための道を開き、金融サービスの新たな地平を切り拓くものと言えるでしょう。このような進展は、金融エコシステム全体の成熟と、多様な資産クラスへのアクセス拡大という、より広範な成長の機会をもたらします。
ソース元
Yahoo! Finance
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